東北大学災害科学国際研究所の臼倉瞳助教、國井泰人准教授、大学院医学系研究科の富田博秋教授らの研究グループが、新型コロナウイルスへの対応を経験した宮城県の保健所職員からメンタルヘルスの状況を聞き取りしたところ、約7割が不眠症状を訴えていることが分かった。

 調査は2020年9~11月に新型コロナに関する電話相談に携わってきた宮城県内9保健所の職員を対象に実施し、23人の回答を分析した。それによると、不眠症状は69.6%。心理的苦痛は56.5%、心的外傷後ストレス反応は45.5%で見られた。このほか、抑うつ症状が31.8%、不安症状が17.4%、飲酒問題が18.2%で出ていた。

 これらの数字は新型コロナの最前線で治療に当たる医療従事者に匹敵するもので、相談者からぶつけられる不安や怒りなどネガティブな感情への対応で保健所職員が心身をすり減らしている実態が浮き彫りになった。

 調査は新型コロナの国内第2波から第3波へ移行する時期に行われている。現在は第4波の最中で、宮城県がまん延防止等重点措置の対象になるなど、当時より感染状況が悪化している。このため、研究グループは今のメンタルヘルスの状況がこの調査結果よりさらに悪化している可能性があるとみている。

論文情報:【Asian Journal of Psychiatry】The mental health problems of public health center staffduring the COVID-19 pandemic in Japan

大学ジャーナルオンライン編集部

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