美作大学(岡山県津山市)は、2026年度入試より学校推薦型選抜(指定校)に「地域教員希望特別入学枠」を新設する。岡山県北地域における教員不足の深刻化を背景に、地元での教職を志す人材を安定的に育成する。
文部科学省が推進する「地域教員希望枠を活用した教員養成大学・学部の機能強化事業」は国公立大学のみ採択されており、岡山県では岡山大学が2024年に採択されている。岡山大学は「地方型」と「都市型」を組み合わせた協創的教員養成を掲げ、岡山県北の地域教育課題に取り組んでいる。
こうした取組みに対し、本事業の対象外である美作大学も、美作地域の課題感を踏まえ、津山教育事務所(岡山県教育委員会)と連携し独自に制度を導入する。
新設される「地域教員希望特別入学枠」の対象は、指定校となる県北地域の高校生が中心となる。選抜条件としては、高校での学習成績に加え、美作大学と関係機関が連携して行う教職関連セミナーへの参加、卒業後に県北の小学校教員を志望することが求められる。
入学後は通常のカリキュラムに加え、県北地域の伝統や文化を取り入れた特別授業など、地域に根ざした教育者の養成を行う。
児童学科 小学校教員養成コースの2025年度教員採用試験は30名が受験、21名が現役合格。卒業生が津山市内をはじめ美作地域の小学校に多数就職している。また、2023年度より津山市教育委員会と連携し「MIMASAKA METHOD 中山間地域教育力向上プログラム」を実施しており、学校見学や現職教員との交流、地域活動への参加など、実践的な学びを通じて学生が中山間地域の課題や教職の役割を理解し、現場を体感する機会を提供している。
地域を限定し、指定校制で教員志望者を対象とする入学枠は、私立大学としては全国的にも珍しい。関東圏では玉川大学(東京都町田市)が地域ごとに選抜を分けているが、美作大学のように県北限定で指定校制を導入する例は少ない。
岡山県北では教員不足が依然として顕在化しており、本制度は地域循環型の教員養成を支える、非常に地域貢献度の高い取り組みだ。
<学校推薦型選抜(指定校)地域教員希望特別入学枠>
対象学科:生活科学部 児童学科 小学校教員養成コース
募集人数:学校推薦型選抜(指定校)の募集枠27名に含む
出願資格:
1)高校生対象の教職体験セミナー「めざせ教職!学校訪問バスツアー(特色ある学校を岡大生・ 美作大生と訪ねてみよう)」に参加し、岡山県県北で小学校教員として教職に就き、 学校及び地域社会に貢献しようとする強い意志を有する者
2)全体の学習成績の状況が指定校に通知した基準以上であること
3)美作大学を専願とする者
入試日程:
11月期 11月15日(土)…出願期間:11月1日(土)~11月13日(木)合格発表:12月1日(月)
12月期 12月21日(日)…出願期間:12月2日(火)~12月18日(木)合格発表:12月26日(金)