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対話を根幹にした自由の学風とWINDOW構想
山極寿一総長:京都大学は伝統的に対話を根幹とした自由の学風で知られるが、私が最初に掲げたモットーは、学生を主役にした大学作りだ。学生がお互いに活発に対話しながら、学びを深め、面白いことを考えそれに挑戦していく。《面白い》は関西弁では《オモロイ》と言うが、私のような関東出身者にとっては、この二つの言葉のニュアンスは微妙に異なる。前者はどちらかと言うと自分の内で完結しやすく、後者は人に言ってもらうことを期待する。人の興味を惹きそうなアイデアを考え展開するだけでなく、それを人に話して少しびっくりさせてみる。「オモロイやん」、などと返ってくればわが意を得たり、だ。
じつはここから対話が始まる。
対話はディベートとは異なり、勝ち負けは決めない。途中で意見が変わってもいい。独創性を追い求めることは京都大学の伝統の一つだが、それは自分の殻に閉じ籠って考え、一人で楽しめばいいということではない。人を面白がらせ、オモロイと言ってもらい、仲間や先輩と対話していくことが必要だ。そして恩師今西錦司先生※1が好んで使われた言葉だが、「やってみなはれ」と後押しされることで一層弾みがつく。
京都大学のこのような伝統を、さらに発展させるべく考えたのがWINDOW構想だ。