大学と高等学校の教育改革に大学入試改革を加えた三位一体改革についての議論が深まる中、恒例ともなった京都大学総長と首都圏進学校校長による座談会が、9月16日、京都大学東京オフィスで行われた。昨秋、対話を大切にし、学生が主役となる京都大学を目指すとして第26代総長になられた山極寿一先生は、都立高校ご出身。新しいステージを迎えた大学と高等学校のトップによる対話にご注目ください。

座談会参加高校一覧
千葉県立千葉高校 千葉県立船橋高校 埼玉県立浦和第一女子高校 女子学院高校 神奈川県立湘南高校 豊島岡女子学園高校 都立国立高校 都立戸山高校 都立日比谷高校 都立西高校 開成学園開成高校 鷗友学園女子高校

対話を根幹にした自由の学風とWINDOW構想

山極寿一総長:京都大学は伝統的に対話を根幹とした自由の学風で知られるが、私が最初に掲げたモットーは、学生を主役にした大学作りだ。学生がお互いに活発に対話しながら、学びを深め、面白いことを考えそれに挑戦していく。《面白い》は関西弁では《オモロイ》と言うが、私のような関東出身者にとっては、この二つの言葉のニュアンスは微妙に異なる。前者はどちらかと言うと自分の内で完結しやすく、後者は人に言ってもらうことを期待する。人の興味を惹きそうなアイデアを考え展開するだけでなく、それを人に話して少しびっくりさせてみる。「オモロイやん」、などと返ってくればわが意を得たり、だ。

山極寿一 京都大学総長

山極寿一 京都大学総長

じつはここから対話が始まる。

対話はディベートとは異なり、勝ち負けは決めない。途中で意見が変わってもいい。独創性を追い求めることは京都大学の伝統の一つだが、それは自分の殻に閉じ籠って考え、一人で楽しめばいいということではない。人を面白がらせ、オモロイと言ってもらい、仲間や先輩と対話していくことが必要だ。そして恩師今西錦司先生※1が好んで使われた言葉だが、「やってみなはれ」と後押しされることで一層弾みがつく。

京都大学のこのような伝統を、さらに発展させるべく考えたのがWINDOW構想だ。

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京都大学

「自重自敬」の精神に基づき自由な学風を育み、創造的な学問の世界を切り開く。

自学自習をモットーに、常識にとらわれない自由の学風を守り続け、創造力と実践力を兼ね備えた人材を育てます。 学生自身が価値のある試行錯誤を経て、確かな未来を選択できるよう、多様性と階層性のある、様々な選択肢を許容するような、包容力の持った学習の場を提供します。[…]

大学ジャーナル編集部

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