大学はどう変わっていくのか
「知のプロフェッショナル」になるためには、高校での学びからのギアチェンジ、「与えられた知識を身につけるという受け身の学びから、能動的で主体的な学び」への転換が必要です。なぜなら、大学で取り組む問題は、答えがあるかさえもわからない、自ら考え続けて到達する、人類で挑戦する課題であるからです。より主体的に自ら学ぶことをスムースに行えるよう、東京大学では学部の大規模な教育改革に取り組んでいます。
例えば、東京大学には、新入生が最初の一年間、大学を休学し、自ら作った計画に基づいて様々な体験活動に取り組む「初年次長期自主活動プログラム(FLYプログラム)」や、自ら選択して異なる文化や価値観に触れる「体験活動プログラム」があります。また、昨年度に開設した学部一年生が必修の「初年次ゼミナール」は、少人数クラスで、様々な分野の第一線で活躍する教員が、自らの研究体験を踏まえながら大学での学びについて語り、若者の知的好奇心に火を付けようというものです。大学の研究者は、自分の研究がおもしろくて仕方がない人たちですが、その熱意が伝わったのか評判は上々です。ほかに、リーダーとして世界を舞台に活躍できる力を養うプログラム(GEfIL)や、今年度からトライリンガルプログラム(TLP)として、これまでの中国語に加えてフランス語、ドイツ語、ロシア語も選ぶことができるようになりました。世界の人々とコミュニケーションする力はこれからの皆さんにとって必要です。そして、機会を捉えて実際に海外に飛び出してほしいと思います。
平成28年度からは、従来の入試だけでは力を見いだせなかった多様な学生を受け入れるため、推薦入試を導入しました。この新たな方式では、本学の教育課程に適応しうる学力を有し、かつ特定の分野や活動に関する卓越した能力、もしくはそれらについての極めて強い関心や学ぶ意欲を持つ志願者を求めています。初年度の入学者は77名でしたが、彼らと一般入試での入学者が刺激しあいながら、お互いの能力を高めていく枠組みも作っていきたいと思っています。