高校生の皆さんへのメッセージ
私の出身高校は昔の旧制高校で、リベラルアーツ教育を引き継いでいました。自由でアカミックな校風で、「学問を伝えよう」という感じの個性的な先生が多かったのです。そのような雰囲気の中、将来学問的なことを続けるのは面白そうだと考えていました。高校時代に興味があったのは数学や物理です。ただ、「将来、何を研究するか」は具体的には決めておらず、それは大学に入ってから考えようと思っていました。
これまで長年、研究者として過ごしてきましたが、私は研究を非常に面白いものだと思っていて、多くの人にその面白さを共有してもらいたいと思っています。新しいものを創るということはチャレンジングなことです。人の真似をしたり人を追いかけたりするのではなく、自分ならではというものに挑戦してほしい。特に東大にはそれができる優秀な人たちがたくさんいます。学問や研究とは、本来新しいものを生み出したり、従来あるものを違う角度から見て新しいものを発見したりという、わくわくする体験です。それを味わうための膨大な知のストックや、腰を据えてじっくり考えたり議論したりする場が東大にはあります。意欲を持った若いみなさんには、是非そのわくわくを体験し、世界中に広げてほしいと願っています。