高校生の皆さんへのメッセージ

 私の出身高校は昔の旧制高校で、リベラルアーツ教育を引き継いでいました。自由でアカミックな校風で、「学問を伝えよう」という感じの個性的な先生が多かったのです。そのような雰囲気の中、将来学問的なことを続けるのは面白そうだと考えていました。高校時代に興味があったのは数学や物理です。ただ、「将来、何を研究するか」は具体的には決めておらず、それは大学に入ってから考えようと思っていました。

 これまで長年、研究者として過ごしてきましたが、私は研究を非常に面白いものだと思っていて、多くの人にその面白さを共有してもらいたいと思っています。新しいものを創るということはチャレンジングなことです。人の真似をしたり人を追いかけたりするのではなく、自分ならではというものに挑戦してほしい。特に東大にはそれができる優秀な人たちがたくさんいます。学問や研究とは、本来新しいものを生み出したり、従来あるものを違う角度から見て新しいものを発見したりという、わくわくする体験です。それを味わうための膨大な知のストックや、腰を据えてじっくり考えたり議論したりする場が東大にはあります。意欲を持った若いみなさんには、是非そのわくわくを体験し、世界中に広げてほしいと願っています。

東京大学総長 五神真先生  撮影:STUDIO CAC

東京大学総長 五神真先生
撮影:STUDIO CAC

理学博士。東京大学理学部卒、同大学大学院理学系研究科博士課程退学。専門は光量子物理学。東京大学大学院工学系研究科教授、副学長、大学院理学系研究科長・理学部長などを経て2015年4月から現職。武蔵高等学校出身。
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東京大学

明治10年設立。日本で最も長い歴史を持ち、日本の知の最先端を担う大学

東京大学は東京開成学校と東京医学校が1877(明治10)年に統合されて設立されました。設立以来、日本を代表する大学、東西文化融合の学術の拠点として、世界の中で独自の形で教育、研究を発展させてきました。その結果、多岐にわたる分野で多くの人材を輩出し、多くの研究成[…]

大学ジャーナル編集部

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