アクティブラーニングは新たな段階へ

 ALは、学習のなかに書く・話す・発表する等の活動を入れ、知覚・記憶・言語・思考等の認知プロセスを外化させる学習です。まずは、書いて話して発表しての形を、学習の一部に入れていくことが課題です。

 この形がうまくとれるようになってくると、次なる課題は評価のしかたや進度の採り方、課題の与え方になってきます。AL型授業を行いつつも、成績や入試の実績はしっかり落とし込みたいと多くの高校は思うでしょうから、これも課題となります。ALを入れたら成績が落ちた、入試の合格実績が落ちた、だからALをやめた、という高校が全国にいくつかありますが、本末転倒だと思います。良い大学に入れるために教育をしていると言うのなら、その学校は予備校になればいいと思います。高校では、大学に進学してからは力強く学び、社会へ出てからは力強く仕事をして、有意義な社会生活を営むことのできる生徒を育てるための教育をおこなうべきです。成績や受験の実績などは、その後で問われるものです。ALで求める力が十分に育たないまま良い大学へ行っても、その生徒は大学で学べません。就職も厳しくなる可能性は高く、就職できても、職場で同僚とうまく仕事を協働できるかはあやしい。そこまで見越して、いま学校教育の社会的機能が見直されていることをよくよく理解しなければなりません。

 顧問をしている桐蔭学園では、最近、課題の与え方として、活用Ⅱというものを定め新たな推進課題と位置づけました。習得.活用.探究という現行学習指導要領で打ち出された学習プロセスのなかの「活用」を、習得よりの活用と、探究よりでありながら一教科内におさまる発展問題に分け、後者を活用Ⅱとします。私はそれを、①習得・活用を前提とした教科内の探究的な学習、②(より高度な)思考力・判断力を育てる学習、③(できるだけ)実世界(実社会・実生活)につなげた学習、④(できるだけ)問題解決的、探求的な要素を入れた学習と特徴づけ、全教科の先生に取り組んでもらっています。活用は、従来の習得を助ける練習問題に相当しますが、活用Ⅱは全国学力調査のB問題にも近いもので、実世界に繋がる、あるいは問題解決的で探究的な力を育てる問題です。これまで以上に各教科の先生方の創意・工夫、あるいは力量が問われるものでもあります。

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京都大学

「自重自敬」の精神に基づき自由な学風を育み、創造的な学問の世界を切り開く。

自学自習をモットーに、常識にとらわれない自由の学風を守り続け、創造力と実践力を兼ね備えた人材を育てます。 学生自身が価値のある試行錯誤を経て、確かな未来を選択できるよう、多様性と階層性のある、様々な選択肢を許容するような、包容力の持った学習の場を提供します。[…]

大学ジャーナル編集部

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