1940年(昭和15年)に創設された、経理専門学校として大阪で最も古い歴史を有する『関西簿記研究所』をルーツとする大阪学院大学。開学以来、一貫した実学教育を理念にかかげ、実践に強い優秀な人材を育んできました。常に時代が求める人材育成をめざすための大きな柱のひとつが「実践的なグローバル人材の育成」です。なかでも、同大学独自のカリキュラムとして注目されるのが「CETルームシェアプログラム」。日本で唯一のCET(米国にあるアメリカ人学生のための留学派遣機関)受け入れ先である同大学の学生が、留学生との共同生活を通して異文化を体験できるプログラムです。他に例をみないユニークな取り組みの内容について、同大学国際センターの久米井課長、「CETルームシェアプログラム」の体験者である学生の阪井さん、岩岸さん、CET留学生のイーサン・ロメロさんにお話をうかがいました。

 

共同生活を通じた異文化体験「CETルームシェアプログラム」

 久米井課長「大阪学院大学(以下OGU)では創設以来、建学の精神にのっとり、高い実践力を備えたグローバル人材の育成をめざしています。2018年現在、世界23の国と地域の59大学と交換留学制度を持ち、世界中にキャンパスを拡げています。また、海外で学ぶだけでなく、日本に居ながら言語コミュニケーション能力や国際感覚を身につけることを重視し、学内には誰でも利用できる多文化交流スペース『I-Chat Lounge』や、来日する交換留学生・短期研修生を在学生がサポートする機会も用意しています。

 『CETルームシェアプログラム』はそれらキャンパスでできる国際交流の一環として2010年に始まった、本学独自のプログラムです。本学は日本国内の大学として唯一、米ワシントンDCに本拠を置く『CETアカデミックプログラム』という留学機関を通してアメリカの大学から日本語を学びに来る留学生を受け入れています。彼ら、彼女らと本学の学生が大学周辺のアパートやシェアハウスでルームシェア(共同生活)しながら、お互いの習慣や文化を肌で感じて学べる異文化体験プログラムが『CETルームシェアプログラム』なのです。」

 本プログラムは秋・春・夏の学期に分かれて年間を通じ実施されており、各学期とも15~30人程度のOGU学生が参加しています。共同生活する住居は大学が近隣地に用意し、在学生は家賃不要ということも大きな特徴です。留学生と在学生が一緒に生活しながら交流する試みは、生きた国際感覚を養うエキサイティングな体験となるに違いありません。

 留学生たちは日本語を学びに来日しているので、共同生活内での使用言語は基本的に日本語と決められています。そのため、「英語力にはまだ自信がない」「いきなり海外留学するのは不安」という学生にもハードルが低く、気軽に参加できるのがメリットです。実際、一度「CETルームシェア」に参加した学生はリピート参加する傾向がみられ、ここで異文化の世界へ飛び込む自信をつけて海外留学にチャレンジするケースも多いといいます。

 

次のステップへ羽ばたくジャンピングボードの役割に

 本プログラムでは、シェアハウスやアパートでの共同生活に加え、様々なイベントや小旅行も開催されます。お花見やハイキング、たこ焼きパーティなどのバラエティ豊かなレクリエーションを始め、みんなで浴衣を着て夏祭りを楽しんだり、和菓子づくりを見学したりなど、OGUの学生自身にとっても日本文化の良さを改めて知る機会となっています。

 2年次生の時に先輩に勧められて本プログラムに参加し、今までに6回の参加を数えるという岩岸さんは現在4年次生です。

岩岸さん「海外生活に興味がありましたが、いきなり留学はちょっと…と思っていたとき、このプログラムに出会いました。共同生活を通して友人関係が拡がったし、留学生の学ぶ姿勢にも大きな刺激を受けました。異なる文化で育った者同士、正直いってぶつかることもありますが、それを乗り越えて得られるものは大きいですね。ワンシーズンのプログラムが終わるとすぐにもう一度!とリピート参加して、今では常連になっています(笑)」

 

 

 現在4年次生の阪井さんは今回が初めての参加でした。プログラムでの経験をステップとして、留学への意思を固めたそうです。

阪井さん「大学内で募集を見つけて、留学生と一緒に暮らすってなかなかできない経験だし、面白そうだなと思ったのがきっかけです。単にキャンパスで交流するのとは違い、朝起きてから夜寝るまでですから、驚くこともたくさんあるし、時には思いが行き違うことも。いろんな留学生がいるので、一人ひとりと真剣に向き合わないと本当のコミュニケーションはできません。でもその体験により自分の中に異文化を受け入れるベースが築けたので、留学を決意できました」

 お二人が強調するのは、参加前よりぐんと視野が広がり次のステップへ進むエネルギーになったということ、プログラム終了後も留学生たちとのつながりが続き、そこから様々なネットワークが拡がったことです。

 一方、留学生側にも大きなメリットがあるようです。米イェール大学で政治学を専攻するうちに日本に興味を持ち来日したイーサン・ロメロさんは、「ホストファミリー宅に滞在するのとはまったく違う体験ができました」といいます。

 「ルームシェアだといつもそばに同年代の友だちがいて、留学生活中の様々なことを相談できます。ひとりじゃない、寂しくないんです。生活を共にするから日本語の習得ペースも早く、文化や考え方の違いを肌で理解できます。留学生とOGUの学生、お互いにとっての文化支援になるので、在学生にもどんどん積極的に参加してもらいたいですね」

と流暢な日本語で貴重な体験談を聞かせてくれました。

 

 

 国際センターの久米井課長も、「CETルームシェアプログラムは、OGUの学生にとって留学などのアクションを起こすためのジャンピングボードとなるんです。なんといっても通常通り通学しながら、学校側がプログラムや住居などのレールを敷くので、学生や保護者の方々にとっても安心感が大きいのでしょう。大学生活の中で実践的に国際感覚を醸成し、次のステップへと羽ばたいてほしい。学生たちの憧れを現実にするためのいい循環が作れると確信しています」と語ります。

 常に新たな時代を展望しつつ歩み続ける大阪学院大学。「学内留学」とも呼べるユニークな取り組みが始まり約8年、その成果は今、国内外で様々に花開こうとしています。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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