「第2日程」の受験者が特例追試験を受験すると私立大共通テスト方式は合否判定の対象外?

 ところで、「第2日程」での受験を予定していて、何らの理由で追試験を受験することになった場合には、特例追試験(2月13日、14日)を受験することになります。しかし、私立大の共通テストを利用した入試方式の多くは、例年2月10日(水)前後に合格発表が行われます。今年の場合は、「第2日程」が設定されたため、大学入試センターから各大学への共通テストの成績提供が当初予定の2月2日(火)よりも遅れて、2月8日(月)以降となりました。そのため、私立大の共通テスト利用方式の合格発表も数日遅れる見込みですが、特例追試験を受験した受験生の成績が大学入試センターから各大学へ提供される2月18日(木)よりも前に合格発表になると予想されます。その場合、仮に受験生が私立大の共通テスト利用方式に出願していても、合否判定の際には共通テストの成績が存在しないため、合否判定の対象にはできません。

 こうした事例の対象者は少ないと考えられますが、果たして救済されるのでしょうか。文科省の実施要項では、特例追試験の受験者が「共通テストを利用する選抜に出願できるよう配慮する」と記されていますが、対応は各大学に任されます。私立大の共通テスト利用方式の出願は、共通テスト前日に締め切られるパターンが多いため、出願は担保されますが、合否判定については現段階では不透明です。こうして考えていくと共通テストの受験は「第1日程」を選択することがリスクを最小化することになると言えそうです。受験のプロの方々が「第1日程」受験を推すのはこのような理由もあるのです。

 ところで、特例追試験の問題は、従来のセンター試験の緊急対応用の問題である通称「第3セット」がベースになります。つまり、共通テストで予想されている新傾向の問題ではなく、従来型の問題です。そのため、共通テストよりも高得点が望めそうなのですが、そのほかのリスクを考えると意図的に特例追試験の受験を目指すことはとてもお勧めできません。

 

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神戸 悟(教育ジャーナリスト)

教育ジャーナリスト/大学入試ライター・リサーチャー
1985年、河合塾入職後、20年以上にわたり、大学入試情報の収集・発信業務に従事、月刊誌「Guideline」の編集も担当。
2007年に河合塾を退職後、都内大学で合否判定や入試制度設計などの入試業務に従事し、学生募集広報業務も担当。
2015年に大学を退職後、朝日新聞出版「大学ランキング」、河合塾「Guideline」などでライター、エディターを務め、日本経済新聞、毎日新聞系の媒体などにも寄稿。その後、国立研究開発法人を経て、2016年より大学の様々な課題を支援するコンサルティングを行っている。KEIアドバンス(河合塾グループ)で入試データを活用したシミュレーションや市場動向調査等を行うほか、将来構想・中期計画策定、新学部設置、入試制度設計の支援なども行なっている。
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