大学入学共通テストの出願受付最終日の出願総数が公表され、現役生は昨年とほぼ同数の約44万人の出願数でしたが、高卒生は約7万4000人となり、1万6000人近い減少となりました。すでに総合型選抜(旧AO入試)の出願も始まっていますが、大学入学共通テストの出願数が判明したことで、いよいよ一般選抜に向けて入試が動き始めました。高大接続改革元年の大学入試がどう動くのか、ここでは全体動向を予想される6つのポイントに絞って考えてみます。

 

地元志向と手堅い受験は、総合型・学校推薦型選抜に向かう

 2021年度大学入試は高大接続改革の影響で、個別の大学では様々な入試制度の変更が行われます。多くの国立大学で面接の実施や調査書の得点化が新たに行われることや早稲田大学、上智大学、青山学院大学、立教大学などで入試制度が大きく変更されることなど、個々の大学別に見ると志願者数の増減に直接関わる変更点が多々見られますが、ここでは入試の全体動向を俯瞰して、現段階で予想される2021年度入試の入試動向の特徴を整理しました。

①地元志向と手堅い大学選択が続く

 受験生のいわゆる地元志向を示す指標として、文部科学省による学校基本調査の自県内入学率がありますが、この自県内入学率は2000年代以降、緩やかではありますが一貫して上昇傾向にあります。2019年度には43%となっていますので、自県だけでなく、例えば神奈川県の生徒が東京の大学に進学するなど近接する地域単位で考えると、50%は超えているでしょう。こうした傾向は2021年度入試でも続くと考えられます。特に現役生でその傾向がより強く見られ、さらに中堅層のいわゆるボリュームゾーンの受験生が地元地域の国公立大学、私立大学を志望する傾向が続くでしょう。

 また、近年の入試の特徴として、合格が確実な大学を手堅く選択したり、併願大学もより合格確率が高い大学を手堅く選ぶという、安全に受験する傾向が見られます。私立大学の合格者数減少による倍率・難易度アップの影響により中堅私立大学の入試難易度が底上げされたこともあり、この傾向はより強くなっています。さらに、ここ2年程は高大接続改革元年に当たる2021年度入試に受験することを避けるためより顕著です。こうした入試動向は、一般選抜に止まらず、総合型選抜、学校推薦型選抜の入試動向にも影響しています。

②総合型・学校推薦型選抜の志願者数・合格者数が増加する

 手堅い合格を目指す受験行動は、一般選抜から総合型選抜・学校推薦型選抜の受験という方向に向かっています。新傾向の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の受験を回避し、なおかつ早期に手堅く合格を確保することが可能となるからです。国公立大学でも総合型・学校推薦型選抜の募集人員は年々増加しており、受験機会が拡大していることも影響しているでしょう。ここ数年、国公立大学、私立大学ともに志願者数・合格者数が増えています。国公立大学の場合、共通テストの受験を必須とする方式も多いため、合否が判明するのが2月になる場合もありますが、私立大学ではほぼ全てが年内に合否が決まります。2021年度入試でも総合型・学校推薦型選抜の志願者数は昨年以上に増えるものと予想されます。

 また、受け入れる大学側も、受験生が合格ラインを超えていれば、募集人員を大きく超えることになったとしても合格を出すことになるでしょう。仮に不測の事態により一般選抜の実施が難しくなっても、年内の入試である程度入学者数を確保していれば、いざという時の施策の選択肢も広がります。大学によっては、指定校推薦の入学者だけで入学定員を超える学科が出てくるところもあると予想されます。

 

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神戸 悟(教育ジャーナリスト)

神戸 悟(教育ジャーナリスト)

教育ジャーナリスト/株式会社KEIアドバンス コンサルティング部 部員
/大学入試ライター・リサーチャー
1985年、河合塾入職後、20年以上にわたり、大学入試情報の収集・発信業務に従事、月刊誌「Guideline」の編集も担当。
2007年に河合塾を退職後、都内大学で合否判定や入試制度設計などの入試業務に従事し、学生募集広報業務も担当。
2015年に大学を退職後、朝日新聞出版「大学ランキング」、河合塾「Guideline」などでライター、エディターを務め、日本経済新聞、毎日新聞系の媒体などにも寄稿。その後、国立研究開発法人を経て、2016年より大学の様々な課題を支援するコンサルティングを行っている。KEIアドバンスは河合塾グループのため、膨大な入試データを活用したシミュレーションや市場動向調査が可能なこともあり、将来構想・中期計画策定、新学部設置、入試制度設計の支援など設置者を問わず多様な依頼が日々多く寄せられる。
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