青山学院大学は2021年度入試で入学者選抜制度の大改革を行った。文部科学省が進める高大接続改革を受け、次代を担う人材の育成を目指すためだ。各学部・学科のアドミッションポリシーに基づく選抜方式により、これまで以上に受験生の思考力や学修意欲を問う選抜内容となった。青山学院大学は、国公立大学を含めた全国の大学の中でも高大接続改革のフロントランナーと言える。2022年度入試では、法学部ヒューマンライツ学科の新設が予定されるなどの変更点はあるが、制度の大きな変更はない。受験生は一般選抜の各方式のポイントをよく理解した上で出願に臨みたい。
タイプが異なる3つの選抜方式、最大の特色は独自問題
青山学院大学の一般選抜は、「個別学部日程」、「全学部日程」、「大学入学共通テスト利用入学者選抜」の3つの選抜方式で行われる。それぞれに特色があるが、各学部・学科の個性が光る方式が「個別学部日程」だ。多くの学部で募集人員が最も多く、青山学院大学のメインの選抜方式と言ってよい。その「個別学部日程」は次の3つのパターンに整理できる。
(Ⅰ)独自問題+大学入学共通テスト
(Ⅱ)独自問題+大学入学共通テスト+英語資格・検定試験
(Ⅲ)独自問題
(Ⅰ)は大学入学共通テストで各学部・学科が指定する2~3教科を受験し、試験当日は各学部・学科が出題する独自問題を受験するパターンだ。ほとんどの学部にこの選抜方式がある。これに加えて、英語資格・検定試験のスコアを活用するパターンが(Ⅱ)の方式だ。国際政治経済学部、総合文化政策学部の一部の方式で実施されている。そして、大学入学共通テストが課されず、独自試験のみによる選抜方式が(Ⅲ)だ。文学部英米文学科と理工学部の一部の方式、そして経済学部が(Ⅲ)に該当する。
この「個別学部日程」にはポイントが2つある。1つは、独自問題を1種類だけ課している学部・学科が多いため、受験対策の負担が少なくて済むことだ。もう1つは、大学入学共通テストを利用するため、国公立大学や他の私立大学を目指している受験生も併願がし易いことだ。前述のように受験対策が必要な独自問題も、課される数が少ないことは、他大学との併願を考える受験生にとっては負担が少なくメリットと言えるだろう。
また、「個別学部日程」の独自問題は各学部・学科のアドミッションポリシーに基づく出題内容なっており、「記述式を含む総合的な問題」、「記述式を含む個別科目問題」、「論述」などが課される。複数の科目にまたがる総合問題を出題する学部もある。そのため、暗記をすれば解答できる問題ではないが、決して難問の部類でもない。独自問題は各学部・学科の入学後の学修内容と密接に関連した出題内容となっているため、本当に学ぶ意欲や適性を持った受験生であれば、むしろ取り組みやすいと言える。これまで以上に受験生の思考力や適性等をしっかりと評価するだけではなく、入学後のミスマッチを防ぐ役割も果たしているのだ。
一方、「全学部日程」は独自問題のみで受験できる方式で、同一日に全ての学部・学科で選抜が実施される。全ての教科・科目の解答用紙はマークシート方式(解答用紙1枚)だ。文学部、法学部、経営学部、国際政治経済学部、理工学部は学部内で複数学科の併願も可能だ(法学部はヒューマンライツ学科を新設予定)。
「大学入学共通テスト利用入学者選抜」は大学入学共通テストのみで受験できる方式で、独自問題は課されず、各学部・学科が指定する大学入学共通テストの教科・科目の得点によって合否判定される。独自問題の受験対策が不要となるため、受験生にとっては大学入学共通テスト対策がそのまま受験対策となる。
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