初めての大学入学共通テストの第2日程も終了し、私立大学の一般選抜も始まりました。大学入学共通テストの平均点が予想外に高くなったこともあり、私立大の共通テスト利用方式の志願者数は当初予想よりも減少幅が小さくなりそうです。ただし、一般方式は難関大学から中堅大学まで幅広く減少していますので、最終的には私立大の志願者数は昨年に続いて2年連続の減少となりそうです。一般選抜の今後の注目点ですが、1つは個々の大学の志願状況と合格者数の増減による倍率の変化です。そして、もう1つは2月後半から3月に行われる後期(二期)入試の志願動向です。
大学志願者数の実人数が減少している影響で私立大志願者数も減少
国公立大学2次試験の出願は受付最終日の15時現在で前年の同時期と比べて4%減少しています。大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の出願者数も前年比96%ですので、最終的な2次試験出願者数は前年より4~5%の減少となりそうです。国公立大学全体で見ると学校推薦型選抜の募集人員が23人減少していますが、総合型選抜の募集人員は1643人も増加しています。その分、一般選抜の合格者数は減少するため、志願者数が減少しても倍率はそれほど変わらないものと思われます。
一方で私立大学の一般選抜もすでに始まっていますが、志願者数は全体で減少となる見込みです。河合塾の大学入試情報サイトKei-Netで2月4日現在の集計データが公開されていますが、全体では前年比89%(一般方式87%、共通テスト利用方式93%)と大きく減少しています。志願者数減少の最大の要因は受験人口の減少です。そもそも18歳人口が2万6000人減少している上に、高大接続改革元年入試(2021年度入試)を避けたい受験生の現役合格志向が高まったことで高卒生の受験生が減少しています。そのため、今年の大学志願者数の実人数は、昨年の66万5000人から2~3万人減少していると考えられます。前年比にすると95%程度となりますので、各大学は志願者数が5%減少していて普通の状態だと言えます。最終的には私立大志願者数(延べ志願者数)は全体で10%程度の減少となるでしょう。
また、文部科学省が2017年7月に通知した「平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」によって、大学入学者選抜に係る新たなルールとして教科・科目に係るテスト(学力試験=一般選抜)の実施時期は、「2月1日~3月25日まで」とされていますので、多くの私立大がこれまで1月末に実施してきた試験日を2月1日以降に変更しています。いわゆる「2月1日問題」です。試験日の多くは2月初旬に移動していますので、自ずと多くの大学で入試日程が重なってしまい、受験生の併願がし難くなっています。こうしたことも一般方式から共通テスト利用方式に志願者が移ったことに影響していると見られます。
参考サイト:
河合塾の大学入試情報サイトKei-Net 主要私立大 集計データ
https://www.keinet.ne.jp/exam/future/index.html
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