「探究」という学びのキーワードは、大学入試や高大接続プログラムにも変化を与えている。東京都市大学では、総合型選抜で探究活動の成果を評価する新入試を導入し、一般選抜では「探究総合問題」という複数の教科を横断して探究力を問う試験問題を新設した。また、高校生向けの進学イベントとして従来型の「オープンキャンパス」に加えて、本年度から探究学習プログラム「オープンミッション」を実施した。

 

 

 「オープンキャンパス」は、大学の施設設備を見学したり教育研究内容に関する具体的な説明を提供するフェスティバル型のイベントで、1dayプログラムであるのに対し、「オープンミッション」は探究学習イベントとして約3か月の期間を必要とする。

 参加者は、大学のホームページで提示された探究テーマから、関心あるテーマを選択して登録(各テーマごとに人数制限あり)。ミッション(課題)動画に基づき、自分なりにまとめたレポート等を6月26日(日)に持参し、当日はテーマごとにグループワークを行ったり、大学の研究機器を利用した実験を体験。大学教員から直接指導を受けることも貴重な機会となるが、アシスタント役の大学からのアドバイスは、年齢の近さもあって参加者の緊張感を和らげるのに一役買っていたようだ。

 そして、このプログラムはこの1日では終わらない。担当教員からのレクチャーに基づき、ここからさらに深く内容を掘り下げ、8月9日(火)にあらためてキャンパスに集合し、最終成果を発表した。参加者はこの期間内、大学図書館を自由に利用し、担当教員から適宜アドバイスを受けたり、テーマによっては参加者どうしでの意見交換なども行い、大学のアカデミズムに触れながら探究活動を深めた。東京都市大学がこの「オープンミッション」を企画した背景には、高校での「探究」の学びの動向をいち早くキャッチし、大学の教育研究と有機的に連接させたいという意図がある。また、高校の探究活動を支援したいという目的もある。

 本年度は周知期間も短く、全389名の受け入れ枠に対して約200名の参加だったが、このプログラムの成果を利用して総合型選抜に出願する受験生は130名にも及んでいる。本年度のプログラムは終了したが、高校から「探究活動として公式に連携したい」という問い合わせも多く、来年度はさらに拡大して実施する予定だ。

 

大学ジャーナルオンライン編集部

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