建学の精神に掲げた「個性の尊重」を重視し、必要な施策を次々と打ち出す

 成蹊大学がキャリア支援において「個別相談」を重視していることは、これまで伝えたとおり。どの職員も本気で学生の未来を思い、本気でサポートしている。職員全員で意見を交わし、「学生のために何ができるか」を徹底的に考え抜くことで、キャリア支援のさらなる強化を実現してきた。

 「『個性の尊重』を建学の精神に掲げていることからもわかるように、画一的な支援ではなく、学生らしさを受け止め、理解したうえで、やりたいことを実現できるような支援を目指してきました」(本郷事務長)。例えば「自己PRを書きたいが、何を書けば良いかわからない」といった疑問や不安があれば、学生にインタビューを行っていわゆる「ガクチカ」を引き出し、職員と学生が一緒になって自己PR文を作り上げていくという。

 そして、常に周囲にアンテナを張り巡らせる。「採用の早期化など、就職活動は年々、変化しています。昨年と同じスケジュールでは対応ができないこともあり、そういう意味からも、『今、どのような支援が必要か』をしっかりと吟味して、必要な支援につなげていくことが大切だと感じています」と、落合主査。

 日頃から情報収集を心がけ、就職実績のない優良企業があれば、職員自ら訪問。このような取り組みが功を奏し、学内での説明会に参加してくれる企業も年々増えている。

 大手企業への内定率も年々高まっており、大学通信が毎年公表している「有名企業400社実就職率ランキング」において、2023年は58位(13.3%)だったが、2024年版においては、8.3%アップの39位(21.6%)に上昇している。学生のニーズを迅速にキャッチアップし、必要な支援につなげてきた成果が、着実にあらわれている。
2024年秋に竣工予定の「新11号館」。理工学部の研究室棟として機能するほか、低層階にコミュニティスペースを配置し、文理融合の学びや交流の場としての利用が期待されている。(画像提供 株式会社 竹中工務店)

これからも学生の希望を真正面から受け止め、夢実現の後押しとなる存在であり続ける

 最後に、今後のキャリア支援に対する考えについてお聞きした。

「学生のなかには、周囲に相談せず、悩みを抱えこんだまま就職活動を進める者もいます。私達は、そのような学生たちにも気軽にキャリア支援センターを活用してほしいと思っています。例えば学食や部室のように、キャリア支援センターを今まで以上に学生が気軽に立ち寄り、気軽に相談できるコミュニティスペースにしていけたらと願っています。職員と学生はもちろん、学生同士が就職活動の悩みを相談し合う。そんな温かみのある空間にしていきたいですね」(落合主査)

 一方、本郷事務長は近年の就活事情の変化に対応することの重要性を指摘する。

「コロナ禍を機に、多くの企業がオンラインを活用した採用を実施するようになりました。オンライン説明会やオンライン面接、SNSを用いた情報発信なども一般的になりつつあります。今後は、成蹊大学らしい学生に寄り添った面倒見の良さを堅持しつつ、時代に合った、そして学生のニーズに合った支援を積極的に進めていきたいと考えています」(本郷事務長)

 ここ数年の学生の就職意識に目を留めると、大手企業を志望するケースが増えているという。一方で「アナウンサーになりたい」「公務員になりたい」「起業したい」など、キャリア観の多様化も進んでいる。だからこそ、学生の希望をしっかりと受け止め、夢の実現を後押ししていく――そんな成蹊大学らしいキャリア支援を変わらずに実践していくことこそが、本郷事務長や落合主査はじめ、成蹊大学キャリア支援センター全職員の切なる願いなのである。
「2026年には、全学部対象のアントレプレナーシッププログラムを導入します。ますます多様化する学生のキャリア観を受け止め、丁寧に応えていくことが私たちの使命です」

<本件に関するお問い合わせ先>
株式会社ビズリーチ 新卒事業部(ビズリーチ・キャンパス)
以下のフォームよりお問い合わせ下さいませ。
https://site.br-campus.jp/university/

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