小田急線玉川学園駅から徒歩3分、起伏にとんだ緑豊かな丘陵にキャンパスを構える玉川大学。幼稚部から大学院までを擁するキャンパスは、私立大学で全国5位の敷地面積を誇り、最先端の充実した学びの環境が整っている。大学創設以来、教員養成に力を注ぎ、教育学部、文学部、芸術学部、農学部、工学部で教員免許取得が可能。「全人教育」を礎とし、理論と実践を繰り返し学ぶカリキュラムで、教育現場で即戦力となる教員の養成を目指している。教育学部長の佐久間裕之教授にお話を伺った。

 

大学創設当初から教員養成に尽力。
「全人教育」を礎に即戦力となる教員を多数輩出

創立者の小原國芳氏が「ゆめの学校」を作るべく、玉川学園を立ち上げたのは1929 年のこと。幼児・児童・生徒111人と教職員18人から始まり、現在では幼稚部から大学院まで教職員あわせて約1万2,400人が集う総合学園へと発展してきた。

小原氏はまた「すぐれた教師が日本の教育を支える」という信念のもと、1947年に大学令での大学設置認可を受け、1949年に文学部教育学科を開設して教員養成に尽力。翌年には通信教育で小学校教員免許状を取得できる日本初の通信教育部(文学部教育学科)を誕生させた。

「本学における教員養成の根底にあるのは、小原が提唱した「全人教育」です。時代とともに、学部学科の名称や組織体制は変化してきましたが、「全人教育」は創立以来、変わらず守り続けている本学の教育理念であり、教育信条の基盤を形成しています」と佐久間学部長。

全人教育では、「真・善・美・聖・健・富」という6つの価値の調和的な創造を通じて、各自の人格を育んでいく。「大学で哲学を専攻した小原は物事を根本から考える人物で、そもそも教育とは何かを探究し、たどり着いたのが全人教育なのです」

伝統を守りながら実習系のカリキュラムを更新
4年間毎年学校現場へ赴き、理論と実践を往還して学ぶ

伝統の「全人教育」を基礎に置きながら、教員養成カリキュラムは時代とともにアップデートされている。2024年4月からは、実践的指導力の資質向上を図るため、学校現場での活動の機会を増やすカリキュラムがスタートした。

「本学では従来から、教育ボランティアや教育インターンシップなども含め、体験教育の充実を図ってきました。座学での理論的学修はもちろん必要不可欠。しかし自ら体験してはじめてわかることも多々あります。自分ごととして、主体的に取り組み苦労しながらも何かを創造していこうとする経験が重要です。創立者の小原はそれを「労作」と呼びました。労作の“作”は作業の作ではなく、創作の作を表します」と佐久間学部長。

新たなカリキュラムのポイントは、①毎年学校現場での実践機会を設けたこと、②全体の実習時間数を増やしたことだ。

1年次の「学校体験活動A」は、1日の参観実習を終えたのちに、授業見学12時間+補助業務12時間の体験活動を行うもの。教職としての自覚を促し、意欲の向上を目指している。また大学での理論と現場での実践を行き来することで学びの理解が深まるという。

2年次の「介護等体験」では、特別支援学級での体験授業を60時間実施。学校には多様な児童・生徒がいること、一人ひとりに応じた対応が必要であることを学ぶ。「さまざまな子供たちと触れ合い、刺激をうけることで、各自が目指す教員像を考える機会になるでしょう」

3年次には「学校体験活動B」を新設。4年次の実習へ向けた準備という位置づけだ。4年次はいよいよ、実習の総仕上げとなる「連続2週間の教育実習」が待っている(※1)。

※1:芸術学部のみ2026年度から導入

教育学部・文学部・芸術学部・農学部・工学部の5学部で
教員免許の取得が可能。
専門性を活かした学びの魅力を伝えられる教師に

教員免許の取得は、教育学部(※2)はもちろん、文学部、芸術学部、農学部、工学部でも可能だ。学部・学科の専門に沿った教科で、中学校・高等学校教員免許状が取得できる。自分自身の興味・関心を深めながら、教職科目を修めることで、子供たちに学びの楽しさを伝える教師を目指していける。玉川大学では卒業要件となる124単位のなかで学部・学科の科目+教員養成の単位を取得できるため、負担なくじっくり学べる点も安心だ。

サポート体制も充実している。「教師教育リサーチセンター」では、教職課程の受講ガイダンスや教員採用試験対策講座の開催をはじめ、自主学習室や模擬授業室、教員採用試験過去問や採用試験参考書など学ぶ環境がそろっている。教職サポートルームに常駐する校長・園長経験者からのアドバイスを受けることもできるのも「教員養成の玉川」ならでは。

最後に佐久間学部長はこうエールを贈る。「玉川学園では、一つのキャンパスに園児、児童、生徒も通っていますから、その意味でも学びの多い環境だと思います。教員免許状の取得は出発点にすぎません。人間理解に根差した教育を実践することが重要です。なぜ、何のために、何を目指して実践するのか、根本から考える教員になってほしいと願っています」

※2:教育学部の場合、小学校教諭1種免許、幼稚園、中学校(社会、保健体育、英語2種、国語2種など)、高等学校(保健体育、地理歴史、公民)を取得できる
「教師教育リサーチセンター」では、教職課程支援のほか、教師教育に関する研究・調査もおこなう。教育委員会、小・中・高等学校、幼稚園、保育所とも連携している

玉川大学 教育学部長

佐久間裕之 教授

 

玉川大学

大学ジャーナルオンライン編集部

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