「社会・産業と最先端の学問をつなぐ『工』の精神」を建学の精神に掲げる工学院大学。2024年卒の就職内定率は98.2%と高い実績を誇るが、「最も重要なのはその中身です。本学では『学びや研究を活かした就職』にこだわっています」と就職キャリア支援部長の佐野勇一郎氏は語る。そのため工学院大学では、大学でのあらゆる活動を学生の成長の機会ととらえ、「学部学科・専攻・研究室」「学生活動支援」「キャリア形成支援・就職支援」の各セクションが連携し、多角的・体系的に人材育成に取り組んでいる。同大学のキャリア形成の取り組みについて佐野氏に伺った。
フォーミュラカーやソーラーカーを設計・製作
「学生プロジェクト」で学部学科の学びを実践し、深める
工学院大学では、実社会で活かせる専門分野の知識・技術を習得し、実践を通じた人間的な成長を大学全体でバックアップしている。「大学・大学院で学んだ知識や理解を深める“実体験の場”として積極的に支援している『学生プロジェクト』は大きな特徴のひとつです。」と佐野氏。
「学生プロジェクト」は、学生が理工学に関わるテーマを自由に設定し自主的に活動する課外活動だ。大学へのプレゼンテーションを経て、承認されるとプロジェクトが立ち上がる。活動費の補助が受けられるため、本格的な活動が行えるのが魅力だ。現在、9つの学生プロジェクトが走っている。
例えば、「学生フォーミュラ(工学院レーシングチーム・KRT)」では、フォーミュラカーの設計・製作を行い、モノづくりの基礎やエンジニアとしての思考を磨いている。毎年「全国学生フォーミュラ大会」に挑戦し、2023年は歴代最高の総合4位という成績を修めた。
「ソーラーチーム」は、ソーラーカーの設計・製作から、マネジメント・広報まで学生が運営。オーストラリアでの世界大会準優勝の実績や、政府最高研究機関からテクニカルイノベーションアワードを受賞するなど、世界を舞台にして活躍している。
「みつばちプロジェクト」では、大学のキャンパスで養蜂・採蜜を行い、企業と連携して「KUTE Honey」ブランドの入浴剤やハンドクリーム、ハンドソープを製品化した。
プロジェクトでは、学生自ら課題を見つけ、解決していくことが求められる。また、仲間と試行錯誤を繰り返すことで、チームで働くための協働力、コミュニケーション力、リーダーシップ、創造性も鍛えられるという。実体験から得られる気づきは、学部学科の授業や研究室でのさらなる知識・技術習得への意欲にもつながっている。
「企業と連携して活動することも多いため、特にコミュニケーション力やプレゼンテーション能力も磨かれます。何より社会人と接することで自身のキャリアについて考える機会にもなっています」と佐野氏は自信をのぞかせる。
学生PJ紹介ページ https://www.kogakuin.ac.jp/theme/s_project.html
1年次からキャリアガイダンスを実施。
卒業後のキャリアを描くことで大学生活をより豊かに
「キャリア形成支援・就職支援」においては、1年次からのキャリア教育に力を入れている。「なかでも就職キャリア支援部は、学生が主体的にキャリアを考え、大学生活で得た知識・技術・経験を卒業後の進路選択へつなぐ役割を担っています。そのためのプログラムを段階に応じて提供しています」
例えば、1年次には「1年生からのキャリア形成ガイダンス」を実施。これは、将来のキャリアを考えた大学生活の過ごし方を伝えるプログラムで、学業・課外活動などの経験を通じて、主体的に自身のキャリアを見出せるようにサポートするものだ。「入学の早い段階で将来について考えるきっかけに触れることで、学生生活をより充実させて欲しいという想いから企画しました」と佐野氏。
「学生が目指したいキャリアを描き、就職を考えるうえで、大学での学びや研究が生かせる業界・職種を大切にして欲しいと思っています。例えば建築業界のなかにも、設計職や施工管理職、建設コンサルタント職など様々な職種があります。自分はどのような職種を目指すのか、そのためにはどのような学びが必要なのか、大学院への進学も視野に入れながら考えてもらえれば」
また、学部学科のカリキュラムにおいても、1・2年次に、大学での学び方を学ぶ「工学院スタディーズ」や、理工系大学では珍しい論理的思考力と表現を鍛える「ロジカルライティング」など、基礎学力だけでなく教養力・人間力の礎となるカリキュラムが用意されている。
幅広い分野で活躍する卒業生を10万人以上輩出。
学生自身がキャリアを考えるロールモデルとなる卒業生を多数紹介
就職キャリア支援部ではまた、学生にキャリアの具体的なイメージを持ってもらうため、様々な業界・職種で活躍する卒業生の姿を積極的に紹介している。工学院大学は136年の歴史があり、卒業生は10万人以上に及ぶ。幅広い業界・職種で活躍する卒業生の存在は大きな強みだ。その背景に、教員の経歴も影響していると佐野氏は考えている。
「本学の教員は企業の研究者やエンジニア出身者が多く、大学で学んだことを社会でどう生かして貢献していくのか、自身の体験を通じて学生に語れる先生が多いのです。こうしたことが、卒業生の活躍シーンを広げる原動力になっているのではないでしょうか」
卒業生がどんな学生生活を歩み、社会に出てどんな仕事についているのか。多様な分野で活躍する卒業生たちの等身大の姿に「工学院大学note」で触れることができる。学生時代の学びや経験、現在の職種や仕事内容、キャリア、そして未来のビジョンまで、インタビュー記事を通じてリアルな姿が伝わってくる。大学~社会人へ―自分の未来を「工学院大学note」をヒントにイメージしてみて欲しい。
工学院大学note https://note.kogakuin.ac.jp/m/me17e59db4fa7
工学院大学 就職キャリア支援部長
佐野勇一郎 氏