新宿からJRで約20分、緑豊かな武蔵野の面影を残す国分寺にキャンパスを構える東京経済大学。帝国ホテルをはじめ数多くの企業の設立に参画し、日本の産業・経済の発展に貢献した実業家・大倉喜八郎によって創設された大倉商業学校をルーツに120年以上の歴史を誇る。「考え抜く実学。」をコンセプトに掲げ、社会で活躍する人材の育成に取り組んできた。なかでも、ユニークな名称を持つのが「現代法学部」だ。名称にあえて“現代”とあるのは、いまある法をただ学ぶのではなく、“いま社会で起こっている問題に焦点を当て、法や政治・政策の果たすべき役割を考え抜く”という意欲的な学びを展開するためだという。

 

なぜ「現代法学部」なのか。法の条文を学ぶのではなく、
現代社会の課題から法や政治政策の在り方を問うのが狙い

 いま私たちの社会の基礎となっている法制度は、近代、つまり明治時代に作られたものが基礎となっている。しかし、私たちの生きる現代は、グローバル化やデジタル化、人口構造の変化、人々の価値観の多様化など大きな変化を遂げており、当時では考えられていなかった問題や矛盾が生じている。それに伴い、これまでの原則の修正や、新たな法整備が求められているのだ。

 実際、日々のニュースのなかで法改正や法整備の議論を見聞きすることは多い。身近なところでは、2022年4月1日から選挙権年齢と成人年齢が18歳に引下げられたのは記憶に新しいだろう。数年前には、ライブチケットの本人確認が厳しくなったが、これは転売の横行が問題になっていたためだ。デジタルやインターネットの広がりにより、個人間の取引やネット通販のトラブル、コンテンツの不正利用などの問題も後を絶たない。最近ではAIが創作した絵画や音楽などの著作権はどうなるのかといった話題にまで及んでいる。一方、人々の暮らしに目を向ければ、同性婚や子どもの貧困問題、世界に目を向ければ、環境問題、国際紛争など、ニュースを目にしない日はないだろう。

 現代法学部では、こうした現代的な問題に焦点をあて、法と政策の今後の在り方を考え、解決へ導く力を身につけることを目指す。なかでも社会問題が顕著である「消費生活」「福祉」「環境」「ビジネス」「公共政策」「法総合」の6分野で専門プログラムを展開している。

1年次からの少人数授業で“考え抜く力”を鍛え、
2年次からの専門プログラムで、知識と考察の習得を重ねる

 具体的なカリキュラムを見ていこう。

 「現代法学部」では、2年次から専門プログラムに所属して、自身の興味や目指すキャリアに即した学びを深めていけるよう設計されている。そのため1年次では、「リーガルリテラシー入門」や「憲法基礎(日本国憲法)」といった基礎科目を徹底して学ぶカリキュラムが組まれている。

 さらに、1年次から少人数授業(15 ~ 20 人程度)を開講するのも特徴で、学生と教員、学生相互が近い距離感で、それぞれの問題意識や理解度を確認しながら学びを深められる。1年次の「大学入門」では、まず各教員の専門分野を通じて“生きた法の現場”に触れることが目標。さらに2年次の「基礎演習」では2つの専門分野を経験できるため、自分の興味や自分に合うゼミを探ることができる。こうしたステップを経て、3年次からは、自身の選んだ専門分野に特化して掘り下げていく。

 ゼミにおいても自治体との協働など、“生きた学び”を大切にしているという。例えば、現代法学部長である野村武司教授のゼミでは、「子どもにやさしい自治体法政策」をテーマに学んでいるが、昨年度は中野区と協力し、区の職員や子どもたちとともに「中野区子どもオンブズマン・子ども相談室」の愛称とマスコットキャラクターを選定するワークショップに参加。ゼミ生は、「一人一人が、子どもたちが意見を出しやすいような雰囲気づくりに力を入れました」と手ごたえを話してくれた。

 卒業生からも「社会でも役立つ情報分析力と批判的思考をディベートで培った」「1つの問題に対してさまざまな視点から取り組んだ経験によって、多角的に物事を考える力が鍛えられた」と、ゼミ活動での成長を実感する声は多い。

選抜制プログラムで、目標のキャリアへさらに前進
専門学校と連携した学内ダブルスクールで資格取得も支援

 将来目指すキャリアに向けた「選抜制プログラム」も東京経済大学の強みだ。ここでは、2年次からスタートする「公務員志望者支援プログラム」「法プロフェッショナルプログラム」を紹介したい。

 「公務員志望者支援プログラム」は、国家公務員・地方公務員・警察官や消防官をめざす現代法学部生限定のプログラム。要件を満たした学生が2年次2期から所属可能で、最大のメリットは、資格取得や公務員試験に定評のある専門学校と提携した「CSC(キャリア・サポート・コース)講座※」を、授業料全額免除で受講できること。しかも、大学キャンパスで講義を受けられるため、時間を効率的に使えるうえ、個別面談などのサポートも整う。

 「法プロフェッショナルプログラム」は、司法書士、行政書士、裁判所事務官など法にかかわるキャリアを志す学生をサポートする。1年次に法学検定ベーシックに合格することで、2年次から所属可能。弁護士会や東京司法書士会の協力を得て、第一線で活躍する弁護士が講師となるプログラム生限定の授業や、司法書士事務所でのインターンシップが充実。専門職や法科大学院を目指す学生には提携専門学校の受講料を全額補助する制度もある。

 法の専門職や公務員はもちろんのこと、ビジネスの現場にも広く欠かせない法の知識。現代法学部での学びを通じて、現代社会やビジネスの課題解決に向けた法的アプローチを身につけ、新たなルールづくりをリードする存在を目指すことができるのではないだろうか。

※「CSC(キャリア・サポート・コース)講座」は選抜生以外も受講が可能。費用は自己負担となるが、一般の受講料よりも低価格かつ、学内でダブルスクールできる

東京経済大学

「考え抜く実学。」考え抜き、実践し、未来を切り拓く力を育む

東京経済大学は、明治・大正期に活躍した実業家の大倉喜八郎が、1900年に創立した大倉商業学校が前身です。困難な時でもひるまずに前へ進む「進一層」の気概と「責任と信用」を学風とし、「アカデミズムに裏打ちされた実学教育」を実践する大学として、高い倫理性を持つ有為な[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

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