日本学生支援機構の2017年度優秀学生顕彰が行われ、2017年度は応募総数114名のうち、大賞14名、優秀賞15名、奨励賞24名の受賞が決定した。12月9日、アルカディア市ヶ谷(東京都)で行われた表彰式には大賞と優秀賞の受賞者が招かれ、学生代表として、文化・芸術分野で大賞を受賞した坂東直さん(神奈川大学4年、漫画新人賞「手塚賞」に入選)がスピーチを行った。
日本学生支援機構の優秀学生顕彰は、経済的理由により修学に困難がありつつも優れた業績を挙げた学生・生徒を推奨・支援し、21世紀を担う前途有望な人材育成に資することを目的に行われている。学術、文化・芸術、スポーツ、社会貢献、産業イノベーション・ベンチャー、国際交流の各分野から大賞、優秀賞、奨励賞が選ばれ、奨励金が授与される。
社会貢献分野において唯一大賞を受賞した大阪大学医学部医学科6年寺本将行さんは、「今救えない命を救う」ことを目標に、若者の力で様々なヘルスケア問題の解決を目指す団体「inochi学生プロジェクト」を立ち上げた。また心臓突然死対策に360°VRカメラを用いた啓発教材を作成し取り組んだこと、大阪万博誘致に向けた提言書を若者代表としてまとめたこと、ダボス会議Global Shaperへの選出などの業績が高く評価され、今回の受賞となった。
寺本さんが学生3名で始めた「inochi学生プロジェクト」は、現在では約60名の学生が集まる大きなプロジェクトに成長した。さらに、大阪大学心臓血管外科の澤芳樹教授を理事長とする「一般社団法人inochi未来プロジェクト」の理事にも就任し、関西を医療の国際拠点にしようと取り組むなど「若者の考えを政策提言につなげること」「若者からヘルスケアイノベーションを起こすこと」をモットーに精力的に活動を続けている。
寺本さんの受賞を受け行われた懇談で、大阪大学西尾章治郎総長は、大阪の地でイノベーションを創出することの重要性を示すとともに、今後も中高生を含めた多くの若者を巻き込みながらさらに発展していってほしいこと、また、そのような若者を受け入れることのできる魅力ある大学作りが我々の責務だと考えているとコメントした。