理化学研究所と東北大学医学部の共同研究グループは日本人の主な失明原因である開放隅角(ぐうかく)緑内障についてアジア最大のゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施し、発症に関わる7カ所の感受性遺伝子領域を同定した。

 緑内障は視神経が障害を受ける眼疾患で、日本人の失明原因の第一位となっている。日本人40歳以上の緑内障の有病率は5.0%で、その主な病型は開放隅角緑内障であるが患者の遺伝要因の大部分は解明されていなかった。

 そこで同共同グループは、発症に関わる遺伝要因を明らかにするため、日本人の患者3,980名と対照群18,815名を対象に、SNP(一塩基多型:ゲノムDNA上の1塩基が異なる現象。個体差を生む要因になる)に対するGWASを行った。

 その結果、7カ所の遺伝領域が開放隅角緑内障の発症に影響することを明らかにした。また、日本人だけではなく、これら7カ所の遺伝領域のうち、2つのSNPが非日本人アジア系人種で、4つのSNPがヨーロッパ系人種でも発症に影響していることが示された。さらに、上皮成長因子受容体シグナルに関与する遺伝子群が発症に関与すること、また、生まれつき開放隅角緑内障になりやすい人は、2型糖尿病や心血管病にかかりやすいという遺伝学的相関も明らかになった。

 本研究において、開放隅角緑内障患者に関わる遺伝子領域が明らかになったことで、今後、緑内障病因の解明や治療法の開発、予防医学研究に貢献できると期待される。

論文情報:【Human Molecular Genetics】Genome-wide association study identifies seven novel susceptibility loci for primary open-angle glaucoma

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