中部電力株式会社と中部大学は共同で、風力発電所の風車への落雷を高精度で検出でき、かつ低価格の新型落雷検出装置を開発したと発表した。

 落雷の多い地域では、風車に落雷した場合、安全確保のため風車を自動停止することが義務付けられている。このため、風力発電所の風車にも落雷検出装置が取り付けられているが、1基に1個の磁界センサを設置する従来の落雷検出装置では、近隣への落雷を誤検出することがあり、風車の稼働率を低下させる要因の一つとなっていた。一方、高精度な検出装置として現在知られているロゴスキーコイル型は、風車タワー基部の全周にコイルを設置しなければならず、コストが高いため導入が進んでいないという。

 対して、今回開発された装置は、風車に3個の磁界センサを取り付けることで、落雷検出の精度を向上させながら経済性も兼ね備えた。落雷により発生する磁界の大きさと方向から、落雷があった風車を正確に特定できるといい、フィールド試験では8回中8回実際の雷で正しく動作することが確認された。構造が単純で設置も容易であり、ロゴスキーコイル型と比べおよそ3分の1から10分の1のコストで設置できるという利点も。既に運転中の風力発電所にも取り付けが可能だという。

 本装置は洋上の風力発電にも最適だ。洋上風力発電では、設備を船で巡回するため、点検に時間を要するが、本装置の落雷検出を用いれば、点検すべき風車が事前に特定でき、点検時間の削減につながる。

 高精度と低価格の両立を可能にした新型落雷検出装置は、2018年6月から株式会社昭電により販売が開始される。

中部大学
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