アジア・太平洋地域の学校保健緊急強化を求める琉球大学医学部の小林潤教授の論文が、日本小児科学会の国際誌に掲載された。琉球大学が進める「ポストコロナ社会実現研究プロジェクト」の成果をまとめた論文で、小林教授はWHO(世界保健機関)西太平洋地域事務所が開催を予定する思春期保健の国際会議でこの論文を基に提言する。

 琉球大学によると、沖縄県を含むアジア・太平洋地域の島しょ部は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、学校閉鎖のリスクが高まっている。沖縄県ではこれまで、2020年初頭のパンデミック第1波で学校閉鎖が実施されたものの、2020年7月の第2波以降、学校閉鎖がなく、教育機関で起きたクラスターも最小限に抑えられてきた。この理由について、小林教授は学校内での感染管理が有効に働いていたためとみている。

 しかし、沖縄県は現在、緊急事態宣言が継続して発令中で、人口当たりで換算した感染者数が東京都を上回る感染爆発にさらされている。学校閉鎖はインターネットへの過度の依存によるメンタルヘルスの悪化や自殺の増加など子どもたちにさまざまな悪影響を及ぼすことが報告されており、最小限にとどめることが必要だが、予断を許さない状況が続いている。

 小林教授は沖縄県では学校保健の強化の継続、他のアジア・太平洋地域の島しょ部では学校保健の強化が急務となっているとしている。

論文情報:【Pediatrics International 2021】Urgent need to strengthen school health in Asia and the Pacific Islands

大学ジャーナルオンライン編集部

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