インフルエンザは小児の感染者が家庭外で二次感染を引き起こすことが問題になっているが、新型コロナウイルス感染症では家庭外で二次感染を引き起こす頻度が少ないことが、東北大学大学院医学系研究科の押谷仁教授らの研究で明らかになった。押谷教授らは休校措置など小児を対象とする感染対策について、有効性を慎重に評価する必要があるとみている。
東北大学によると、押谷教授らの研究グループは全国の都道府県が公表した20歳未満の新型コロナ感染症患者7,000人以上の情報を解析し、過去に新型コロナ患者と接触した環境や自身が二次感染(感染症に罹患した患者が、自分以外の人間にその感染症をうつしてしまうこと)を引き起こした環境を調べた。
その結果、過去に新型コロナ患者と接触した環境は家庭が32%を占めて最も多く、保育園や幼稚園、小中高校で接触したケースは5%に満たなかった。
二次感染を引き起こしたのは10%。中学生以上になると二次感染を多く引き起こし、小学生に対して中学生は2.7倍、高校生2.1倍に達している。しかし、二次感染が発生した環境は家庭が26%で最も多く、保育園や幼稚園、小中高校は6%しかなかった。比較的年齢の低い学童が家庭外で二次感染を引き起こしやすいインフルエンザとは状況が大きく異なっている。
家庭外での二次感染への影響も限定的で、小児の地域内流行に果たす役割は限定的である可能性も示唆された。押谷教授らはこうした結果を参考にして、今後感染予防対策を打ち出すべきだとしている。