慶應義塾大学医学部内科学(神経)教室の滝沢翼専任講師、関口耕史助教、中原仁教授らの研究グループは、慶應義塾大学病院の看護系職員のCOVID-19ワクチン接種後の頭痛の特徴や頻度を調査。普段から頭痛もちの場合、COVID-19ワクチン接種後に副反応として頭痛が生じやすいことを明らかにした。

 現在、COVID-19のワクチン接種が進んでいるが、副反応の1つとして頭痛が報告されている。今回、慶應義塾大学病院の看護系職員について、健常者、片頭痛※を有する者、それ以外の頭痛を有する者に分類し、使用したワクチン(ファイザー製)接種後に生じる頭痛の頻度や特徴について調査した。

 解析は研究への参加に同意を得られ、ワクチンを2回接種し有効な回答が得られた171名について行った。対象者は女性の割合が94%、年齢の中央値は31歳である。

 調査によると、普段から片頭痛、片頭痛以外の慢性頭痛がある場合、健常者と比較し、ワクチン接種後に頭痛が生じやすいことが明らかになった(健常者 37.9%に対し、片頭痛 69.2%、片頭痛以外の頭痛 71.4%)。また、2回目の接種時の方が 1回目の接種時よりも頭痛が生じやすいこともわかった(1回目20.5%、2回目45.6%)。全体において、ワクチン接種後に頭痛が発症するまでの時間の中央値は、1回目では10時間後、2回目では12時間後で、頭痛の持続時間の中央値は1回目では4.5時間、2回目では8時間だった。

 今回の対象者は若年女性が多かったため、一般人口にそのまま当てはめることはできない。しかし普段から頭痛をもっている人は、そうでない人と比較してワクチン接種後に頭痛が生じやすい可能性があるため、接種の際注意が必要としている。

※片頭痛は20~40代の女性に多く、一般的には片側性、拍動性(脈打つような性状)の頭痛とされているが、そうではない場合もある。約3割の患者では閃輝暗点といった視野の症状が頭痛に先行する。光に対して敏感になったり、吐き気を伴ったりすることもある。日常生活に支障をきたすことが多い頭痛とされている。

論文情報:【Cephalalgia】Incidence of headache after COVID-19 vaccination in patients with history of headache: A cross-sectional study

慶應義塾大学

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