スウェーデン王立科学アカデミーは2017年のクラフォード賞関節炎分野に大阪大学免疫学フロンティア研究センターの坂口志文特任教授ら3人を選んだ。授賞式は5月にストックホルムであり、受賞者に賞金600万クローナが授与される。

 大阪大学によると、クラフォード賞は人工腎臓の発明者であるホルガ―・クラフォード夫妻により、1980年に設立された賞で、ノーベル賞が扱わない領域を補完する目的も持つ。分野は天文学・数学、地球科学、生命科学、関節炎。毎年1分野の受賞者が発表され、今回は坂口教授以外に米研究機関に所属するフレッド・ラムスデル氏、アレクサンダー・ルデンスキー氏も選ばれた。

 坂口教授は免疫に関係する制御性T細胞(※1)を発見し、その仕組みを解明したことが高く評価された。免疫は人間の体を守る目的で働くが、過剰に働くと人間の体を攻撃し、リウマチなど自己免疫疾患を引き起こすことがある。制御性T細胞はその攻撃を抑える役割を果たしている。

 大阪大学からのクラフォード賞受賞は岸本忠三元総長、平野俊夫前総長に続いて3人目。坂口教授は「自己免疫疾患や関節炎の分野の偉大な先達である岸本、平野先生に続いてこの賞をいただけるのは大変な名誉。今回の受賞を励みにし、さらに研究に精進したい」とのコメントを発表している。

(※1)制御性T細胞 免疫応答の抑制的制御(免疫寛容)を司るT細胞の一種で、過剰な免疫応答を抑制するためのブレーキ(負の制御機構)や、免疫の恒常性維持の役割を果たす

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