弘前大学の安藤喜一名誉教授がカマキリの雪予想を間違いだと科学的に証明した書籍「SCIENCE WATCH カマキリに学ぶ」(北隆館、A5版、215ページ)を出版した。多くの写真を示したうえ、安藤名誉教授の研究生活を織り交ぜながら話を展開し、一般の人にも分かりやすい内容となっている。
弘前大学によると、カマキリの雪予想とはカマキリがその年の冬に降る雪の量を予測して雪に埋もれない場所に卵を産むというもので、過去に学術界が誤ってお墨付きを与えたことがあり、一部報道機関が取り上げるなど世間で定説のように語られている。
しかし、安藤名誉教授が野外調査したところ、カマキリの卵が積雪より高い場所にあるのは、草の丈や樹高と関係していることが分かった。さらに、安藤名誉教授はカマキリの卵が雪の下に埋もれていても、問題なくふ化することも実証した。そのうえで、本書ではなぜ誤った情報が世間や学術界で受け入れられたのかについて考察している。
安藤名誉教授は山形県出身。専門は昆虫学で、1992年から弘前大学農学部教授を務め、2004年に定年退職した。在職中は主にコバネイナゴを研究していたが、退職後はカマキリの研究を続けている。
弘前大学は古くから昆虫学研究で国内を代表する拠点の1つと評価されてきた。4月には大学OBの田中誠二博士と農学生命科学部の管原亮平助教が「バッタの大発生の謎と生態」(北隆館、A5版、300ページ)を出版している。