香川大学と岡山大学の研究グループは、オオツノコクヌストモドキという昆虫のオスの大顎サイズと死んだふり行動の関係を調査した結果、大顎サイズが大きなオスほど、死んだふり行動をより高頻度に行うことを、世界で初めて明らかにした。

 ゾウアザラシや鹿、クワガタムシなどのオスの武器形質は、メスとの交尾を巡るオス間闘争などに用いられ、武器サイズが大きいと勝利しやすいとされる。しかし、大きな武器形質は、天敵からも目立つため、死亡リスクを増加させると考えられている。そのため、武器サイズの大きな目立つオスは、天敵からの捕食を回避するために何らかの戦略を持つと予想されていたが、それを検証した研究はなかった。

 オオツノコクヌストモドキは米・小麦類の貯穀害虫として知られる。体長約4ミリで、小麦粉で容易に飼育できるため、多くの個体を使って行動を観察できる。研究グループは、この虫を用いて、オスの武器サイズと死んだふり行動の関係について調査した。

 捕食者からの攻撃を模した外部刺激を与えたところ、大顎サイズと死んだふり行動の頻度の関係は正の相関を示した。また、天敵であるハエトリグモと出会わせたところ、死んだふりをするオスは生き残り、死んだふりをしないオスは死亡することが判明。これらの結果は、武器サイズの大きなオスは、天敵と遭遇しても死んだふりをすることで、死亡リスクを低くさせる戦術を持つことを示唆している。

 今回、闘争に使われる武器と捕食回避行動の関係について初めて明らかになった。生存にとってコストといえる大きな武器を持つに至った生物の工夫は、生き物の生存戦略を考える上でのヒントとなることが期待される。

論文情報:【Biology Letters】Anti-predator behaviour depends on male weapon size

大学ジャーナルオンライン編集部

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