北里大学薬学部の安藤航助教、堀井剛史助教、メディカルセンター研究部門の植松崇之室長補佐らの研究チームが、新型コロナウイルス感染症患者の米国での診療データを解析したところ、高齢、男性、2型糖尿病、肥満という要因が重なるほど重症化しやすいことが分かった。

 北里大学によると、研究チームは全米の医療機関から収集された大規模電子医療記録データベースをもとに、新型コロナ感染症の患者2万8,095人を解析し、診断日から30日以内に入院治療を受ける危険性などを評価した。

 評価方法として年齢が65歳以上、男性、2型糖尿病、肥満に該当すると、それぞれ1点を付加し、点数別に患者が入院する可能性を分析した。その結果、1点の患者は点数が加算されなかった患者に比べて約3倍、2点の患者は約6.5倍、3点の患者は約16倍、4点の患者は約20倍に可能性が高まっていた。

 生命の危機に瀕し、24時間集中治療室に入るクリティカルケアの可能性は、2点が約15倍、3点が約38倍、4点が約55倍になることが明らかになった。

 研究チームは糖尿病をコントロールし、肥満を解消するなど、複数のリスクを回避することにより、重症化の危険性を抑えられるとみている。今後は日本人などアジア人のデータを基に、それぞれのリスク因子と病態の関係を明らかにする。

論文情報:【Scientific Reports】Impact of overlapping risks of type 2 diabetes and obesity on coronavirus disease severity in the United States

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