東京都教育委員会は、全日制の都立高校109校が入試で設定している男女別の定員を段階的に廃止することを決めた。男女別定員を設けているのは全国で東京都だけで、女子生徒の合格最低点が高い傾向にあり、不公平との指摘が上がっていた。

 東京都教育委員会によると、男女別定員は1950年度入試から続き、都立の全日制168校のうち、普通科を持つ109校が導入している。2021年度入試の状況を調べたところ、74校で不合格と判定された合計786人が、性別不問の成績順で判定していたら合格していたことが分かった。このうち、9割近い691人が女子生徒だった。平均すると女子生徒の合格最低点が男子生徒より高い傾向にあった。

 男女別の合格最低点に差が出ることから、42の高校は定員の9割を男女別で判定し、残り1割を性別不問の成績順とする緩和策を導入している。しかし、それでも男女差を埋めきれないうえ、男女共同参画社会の趣旨に反するとした批判の声が出ていた。

 是正は3段階に分けて進める予定。2022年度入試から第1段階として定員の1割を成績順で選ぶ緩和策を全日制普通科全校に拡大する。以降は実施時期が未定だが、第2段階で成績順の合格者を2割に広げ、第3段階で男女別定員を廃止する。

 ただ、都教委は男女別定員の廃止が進路指導などに与える影響が大きいとして、混乱を最小限にとどめる方策を考慮したうえで実施したいとしている。

参考:【東京都教育委員会】令和4年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告について(男女別定員について)

大学ジャーナルオンライン編集部

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