東京大学とダイキン工業株式会社、日本ペイントホールディングス株式会社は共同で、新型コロナウイルス感染症などの呼吸器感染症の感染リスク低減対策として、学校などの教育施設の管理責任者向けに、工学的実証に基づく室内環境整備の具体策をまとめた参考ガイドを策定した。
昨年来の新型コロナウイルス感染症の流行に関し、政府・行政機関は感染防止の基本的な対策を提示した。オフィスや商業施設を中心に対策が進んでいるが、教育施設では特有の課題を抱える。今回の参考ガイドは産学協創活動の一環として、学校現場でのフィールド実験やシミュレーション等に基づき具体的な対策案が2部構成でまとめられた。
第1部は空気感染・エアロゾル感染対策のガイド。夏期・冬期の窓開け換気では室内環境の快適性が低下し、学習効果や体調に影響する。熱交換型換気機器を使用すれば、室内の温度や湿度の変動を抑えながらの換気が可能となる。また、空気清浄機(フィルター濾過式、風量毎分7立方メートル)の場合、1台(教室後方設置)で約12人分の相当換気量が得られることも確認した。いずれの場合も定期的な清掃やフィルターなどの交換が重要となる。
第2部は、接触感染対策に関するガイド。実際の教育現場での接触機会が多い物質表面(机、椅子、手すりなど)に、抗ウイルス・抗菌コーティングを施すことで接触感染リスクが低減できる。ガイドには有効な塗料・コーティングに関する製品選定案内書を付属。性能データ・試験方法・メンテナンス・再塗装時期などを確認できる。
今回策定された参考ガイドが広く実施されることで、安全・安心で快適な教育環境の構築に資するとしている。