芝浦工業大学工学部機械工学科の佐伯暢人教授は食品製造機械製造メーカーの株式会社エコーと共同で新しい食品選別装置を開発しました。カップ麺の具に用いられる乾燥野菜に混入した異物を静電気で除去する装置です。この装置ではこれまで取り除けなかった異物まで確実に除去することができます。

乾燥レタス(左)とビニルひも(右) ※プレスリリースより

乾燥レタス(左)とビニルひも(右) ※プレスリリースより

従来から導入されてきた異物除去装置では生産ラインを通過する野菜の映像から異物を検知し、空気噴射によって吹き飛ばす方法が一般的でした。しかしこの方法では異物が野菜に付着している場合や空気が届かない位置に紛れ込んだ場合には除去しきれないという問題があり、最後は人の目によるチェックが欠かせませんでした。

新装置ではまず野菜をコロナ帯電という方法で帯電させた後、回転する筒の中を通過していきます。静電気によって筒の内側にくっついた野菜と異物は、回転と共に上部まで運ばれます。野菜は重みのため途中で落下しますが、異物は付着したまま筒の上部まで運ばれ除去されます。この方法であれば野菜の全ての面が回転する筒の内側に接するので、どこに付着した異物でも取り除くことが可能になります。実験では食品純度は100%、誤って野菜を除去してしまう割合も1%に抑えることができました。

食品への異物混入は度々世間を騒がせ、食品メーカーは対応に追われています。たった1度の異物混入でも食品メーカーにとっては経営を大きく揺るがす事態に発展しかねません。そのため少しでも混入を防ごうとする努力は常に続けられています。

出典:【芝浦工業大学】乾燥食材への異物混入防ぐ「静電選別装置」を開発~目視や人手使わず、3次元の選別で食品純度100%を実現~

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