千葉大学大学院医学研究院の真鍋一郎教授、自治医科大学の永井良三学長、東京大学大学院医学系研究科の藤生克仁特任助教、九州大学大学院理学研究院の岩見真吾准教授の研究グループは、心不全に関わる新たな臓器ネットワークと心不全発症の鍵となるタンパク質を発見した。

 日本において心不全患者は増加し続けており、新たな治療法の開発が望まれている。今回、同グループは「心臓-脳-腎臓」をつなぐ新しい臓器のネットワークを見いだした。これは「心臓に負担がかかると、脳と神経を介して腎臓が活性化され、腎臓から放出された生理活性分子が心臓の機能を維持する」という一連の連結機構である。実際、この流れがうまく働かないとマウスは心不全を発症するようになる。

 さらに同グループは、心臓への負担が増加すると、心筋細胞の働きを助けるタンパク質「アンフィレグリン」が分泌されることを見いだした。アンフィレグリンが働かないマウスは心不全になりやすく、逆にアンフィレグリン投与により、心不全マウスの症状が改善されることを発見した。

 この心不全発症の鍵タンパク質「アンフィレグリン」と一連の臓器ネットワークの発見により、心不全や慢性腎臓病といった疾患の新たな治療法の開発が期待される。

論文情報:【Nature Medicine】A heart–brain–kidney network controls adaptation to cardiac stress through tissue macrophage activation

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