文部科学省科学技術・学術政策研究所は、科学技術イノベーションの分野で活躍し、日本に元気を与える若手研究者10人をナイスステップな研究者に選んだ。過去に京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授、名古屋大学特別教授の天野浩教授らノーベル賞受賞者も獲得した賞で、文部科学省は受賞者の今後のさらなる活躍に期待している。
2021年の「ナイスステップな研究者」と研究内容は以下のとおり。カッコ内は年齢。年齢・所属は2021年12月14日時点。
▽井上寛康 兵庫県立大学大学院情報科学研究科准教授(46)「複雑な社会・経済現象をシミュレーションで解明-異分野融合で拓くよりよい社会-」
▽井町寛之 国立研究開発法人海洋研究開発機構超先鋭研究開発部門主任研究員(46)と延優 国立研究開発法人産業技術総合研究所生命工学領域生物プロセス研究部門主任研究員(33)「真核生物誕生の謎に挑む―新たな進化モデルの提唱―」
▽後藤真 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立歴史民俗博物館准教授(45)「人文学の研究を可視化し未来につなぐデジタル・ヒューマニティーズの開拓」
▽作道直幸 東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻特任講師(38)「ソフトマターの新たな法則の発見-ゴムやゲルの物理が導く新たな世界-」
▽曽我昌史 東京大学大学院農学生命科学研究科准教授(33)「人と自然の関わり合いの理解を通して、持続的な自然共生型社会の構築を目指す」
▽野田口理孝 名古屋大学生物機能開発利用研究センター准教授(41)「『タバコ』で紡ぐ農業の未来」
▽登大遊 独立行政法人情報処理推進機構産業サイバーセキュリティセンターサイバー技術研究室室長(37)「新たなテレワークシステムの研究から社会実装まで-誰でもどこでもつながる世界を目指して- 」
▽畑中美穂 慶應義塾大学理工学部化学科准教授(38)「化学的性質を活かした近似計算方法の開発と応用-機能性材料の理解の深化と効率的設計を目指して-」
▽樋口ゆり子 京都大学大学院薬学研究科准教授(47)「細胞膜修飾による細胞機能の制御―生体内の治療標的となる箇所だけで治療効果などの機能を発揮させるー」
「ナイスステップな研究者」は、最近の活躍が注目される研究者約390名の候補者の中から、今後活躍が期待される 30代~40代の若手研究者(平均年齢40.0歳)を中心に選ばれている。2021年は生命の進化や物質に関する先進的な基礎研究や、人文学分野に情報学の技術を応用する融合研究、大型計算機を用いた大規模災害シミュレーションといった現代社会の課題に密接に関わる研究など多岐にわたる分野において、研究活動のみならず様々な形で国内外へ広く研究成果を展開されている科学者が選定された。
参考:【科学技術・学術政策研究所】科学技術・学術政策研究所「科学技術への顕著な貢献2021(ナイスステップな研究者)」の選定について(PDF)