新潟大学大学院医歯学総合研究科産科婦人科学分野の黒澤めぐみ医師(大学院生)、榎本隆之特任教授、関根正幸准教授らのグループは、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種から約9年経過後の25歳時点でもHPV感染予防効果が持続していることを明らかにした。
HPVワクチンの接種を受けた20~22歳の女性においては、高リスク型のHPV16/18型感染に対する高い有効性およびHPV31/45/52型に対してもクロスプロテクション効果が認められることが既に明らかになっている。一方、性的活動性が最も高まり、高リスク型HPV感染率がピークに達する時期にも含まれる25歳以降の女性に対する長期的な有効性に関しては、これまで我が国における報告がなかった。
そこで本グループは、HPVワクチン接種から約9年が経過した25歳時点における長期の感染予防効果を検証したところ、有意な感染予防効果が持続していることを見出したという。1993~94年に出生し、2019年4月~20年3月に新潟市内で子宮頸がん検診とHPV検査を受けた25~26歳の女性において、HPV16/18型の感染率は、ワクチン非接種群では5.4%(279例中15例)に対し、ワクチン接種群では0%(150例中0例)と感染者を認めず、ワクチンの有効率は100%だった。
また、HPV31/45/52型の感染率に関しても、ワクチン非接種群10.0%に比べてワクチン接種群では3.3%と有意に低いことが確認され、有効率は69.0%であり、クロスプロテクション効果も持続していることが示された。
本研究は、25歳時点でもワクチンによるHPV感染に対する持続予防効果を確認し、ワクチンの長期の有効性を日本で初めて実証したものである。今後は25歳時点での子宮頸部前癌病変の発症予防に対する有効性の検証や、30歳時点でのさらなる長期効果の解析などを継続するとしている。