新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅医療で、医療従事者が感じるストレスは看護師、ソーシャルワーカーら医師以外で強いことが、筑波大学医学医療系の濵野淳講師らの調査で分かった。コロナ禍が医療従事者のメンタルヘルスに悪影響を与えることは明らかになっているが、在宅医療従事者の調査は限られていただけに、在宅医療従事者支援への活用が期待される。
筑波大学によると、濵野講師らは在宅医療の訪問診療をしている国内37施設の職員を対象に2021年8月、ウェブアンケートを実施、計311人の回答を分析した。
その結果、医師と比べて新型コロナウイルスに対する恐怖心は看護師や事務職員、抑うつ症状は看護師やソーシャルワーカー、事務職員で大きくなっていることが分かった。濵野講師らは訪問先の感染状況が分からない中、患者や家族と最初に接するのが医師以外であることが多く、住宅環境によっては適切なソーシャルディスタンスを確保できないためではないかとみている。
在宅医療従事者が必要と感じる支援は、国や地方自治体による感染防護具の配給システムが68.2%、心理的ストレスや感情的な疲れをサポートするシステムが57.2%、感染症専門家への相談が55.6%、専門家の講義が55.0%。医師は専門家の講義を求める声が強かったが、感染防護具の配給システムを期待する声は看護師で目立った。