慶應義塾大学理工学部の満倉靖恵教授、グローバルリサーチインスティチュートのブライアン・スマリ特任講師らの研究グループが、簡単な脳波計測で軽度の認知障害を早期発見できる可能性を示すことに成功した。認知症の早期発見に役立つと期待される。

 慶應義塾大学によると、研究グループは120人の被験者を健常、軽度認知障害、認知症の3つのグループに分け、簡易に計測できる脳波計で脳波を測定、3つのグループごとに脳波の周波数の特徴を分析した。

 その結果、健常、軽度認知障害、認知症の3グループでそれぞれ異なった特徴を持つことが分かった。頭部への取り付けから計測完了まで30秒ほどで済む簡易脳波計測でもこの特徴を計測することができ、脳波の取得だけで軽度の認知障害や認知症が判定可能になる。

 国内の認知症患者は約600万人と推計され、65歳以上の高齢者で6人に1人が発症しているといわれている。今後、高齢化社会の進行とともに、その数がさらに増えると予測されている。

 しかし、早期発見のために確立された方法はまだない。ようやくIoT機器などを使って早期発見法を確立しようとする動きが出てきた段階で、今回の研究成果が早期発見方法の確立を後押しするとして注目を集めそうだ。

論文情報:【BMC Psychiatry】Frontotemporal EEG as potential biomarker for early MCI: a case–control study

慶應義塾大学

大学ジャーナルオンライン編集部

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