近年、増加傾向が続く国内の敗血症治療で費用対効果が改善傾向にあることが、千葉大学大学院医学研究院の中田孝明教授、千葉大学医学部付属病院の大網毅彦助教らの追跡調査で分かった。

 千葉大学によると、中田教授らは診療報酬包括評価制度のデータベースから2010~2017年の血液培養を採取して抗菌薬投与した患者を抽出、その中で感染に伴う臓器障害をきたした患者を敗血症として抜き出し、検査や治療にかかった総費用を算出した。

 その結果、2010~2017年に敗血症患者が増加を続け、年間医療費が3,515億円から5,050億円に増えていることが分かった。しかし、敗血症患者の入院1回当たりの医療費や病院滞在日数は年々、低下傾向にあり、費用は1人400万円近くから300万円近くまで下がっていることが明らかになった。

 ただ、75歳以上の後期高齢者の医療費は2017年で全体の50%を上回るなど、他の世代に比べて伸び率が高くなっていた。

 敗血症は細菌やウイルスなどに対し、身体が過剰に反応することによって、自らの細胞が傷害されて臓器機能が低下する病気。海外のデータでは毎年、約3,000万人が敗血症になり、3分の1が著しい臓器障害で死に至っているほか、治療を乗り越えた患者の多くが慢性的な臓器障害に苦しんでいる。

論文情報:【Journal of Intensive Care】 Temporal trends of medical cost and cost-effectiveness in sepsis patients: a Japanese nationwide medical claims database

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