もし、東京五輪が開催されなかったら、新型コロナウイルスの感染者はどう推移していたのか。東京財団政策研究所が新型コロナ感染に関する公開データから世界42カ国の事例を参考に推定したところ、国内の感染者数が半減していたとする結果が出た。

 東京財団政策研究所によると、推定は東京財団政策研究所の野村周平、米岡大輔両主席研究員、福元健太郎学習院大学法学部教授、川島孝行東京工業大学情報理工学院助教らの研究グループが、他地域のデータを合成して仮想値を創出する合成コントロール法で行った。

 加重平均には新型コロナ関連の公開データから予測因子を抽出し、世界42カ国の事例を参照したところ、東京五輪閉会日時点の人口100万人当たりの7日間平均感染者数109.2人は、推定値の50.6人に対して115.7%多くなっていた。東京五輪期間中の累積感染者数14万3,072人は、推定値の8万9,210人より61.0%多かった。

 東京五輪では選手や関係者を外部と遮断するバブル方式が採用されたが、研究グループは選手や関係者が例外措置として入国したことや選手の感染対策ルール違反が大きく報道されたことなどから、一般市民の感染対策順守に影響が出てローカルな感染が増えた可能性があるとみている。

論文情報:【BMJ Open】Effect of the Tokyo 2020 Summer Olympic Games on COVID-19 incidence in Japan: a synthetic control approach

大学ジャーナルオンライン編集部

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