静岡理工科大学情報学部情報デザイン学科の本多明生准教授と同学科の酒井いお汰さん(2021年度卒業生)は、静岡県内小学校の通学時のヘルメット着用指導の調査を行い、その調査結果を公表した。

 2021年6月、千葉県八街市で起きた児童5人死傷事故。その後実施された通学路の緊急点検において危険通学路は全国で約7万2000カ所、静岡県内は10月末時点で約1000カ所に上り、安全対策が喫緊の課題となっている。

 対策の一つに、交通事故や事故死を減らす効果のある「学童のヘルメット着用」がある。静岡県では2017年に県教育委員会が交通安全調査を行った結果、登下校時にヘルメット着用を義務付けていた小学校は33.4%(県内公立小学校502校中168校)だった。しかしその後の状況や指導に関係する要因はこれまで検討されていない。

 そこで静岡理工科大学情報学部情報デザイン学科の本多明生准教授(専門:心理学)、同学科の酒井いお汰さん(2021年度卒業生)は、2021年末に静岡県の小学校の通学時のヘルメット着用指導状況に関する質問紙調査を実施した。調査は県内の小学校497校(分校5校は除く)から無作為抽出した248校(50%)に調査票を郵送する形式で行われた。

 2021年12月26日まで返送された103校(回収率41.5%:公立校101校、私立校2校、不備があった1校は除く)の回答を分析した結果、通学時のヘルメット着用指導を行っていた学校は33.9%(103校中35校)。着用指導率は2021年末の時点でも4年前とほぼ同じ「3割程度」であることが判明した。

 また、ヘルメット着用指導を行う学校がその理由として「通学路の交通量が多いため(選択率80.0%)」と挙げる一方で、着用指導を行わない学校は「保護者から要望や意見がないため(選択率67.6%)」を理由としており、指導を普及させるためには「ヘルメットの軽量性能が現在よりも向上して、児童の身体的負担が軽減されること(選択率64.0%)」が必要と考えられていることが伺える。

 小学校における通学時のヘルメット着用指導の把握は、危険通学路等の安全対策だけではなく、甚大な被害が想定される南海トラフ地震等の自然災害対策等においても重要である。ヘルメット着用指導状況には地域差も想定されるため、今後、本研究を全国調査等へと発展させることで、日本の小学校における安全対策や自然対策等の向上に資する知見が得られる可能性が高いと考えられる。

 本研究成果は、2022年10月29日から30日に静岡県地震防災センターで開催された第51回(2022年度)地域安全学会研究発表会(秋季)にて「小学校における通学時のヘルメット着用指導状況:2021年静岡県実態調査」というタイトルで発表された。

参考:【静岡理工科大学】県内小学校の通学時のヘルメット着用指導の調査結果について 

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