認知症予防の運動は1人で行うより仲間とするほうが効果的なことが、筑波大学体育系の大藏倫博教授、山口県立大学社会福祉学部の角田憲治准教授の調査で分かった。大藏教授らは今後、高齢者の認知症予防を進めるうえで仲間と行う運動を推奨すべきと提言している。
筑波大学によると、大藏教授らは茨城県笠間市の高齢者4,358人(平均年齢76.9歳)を2017年から4年間にわたって追跡調査し、1人で行う運動と仲間と2人以上で行う運動の実践状況を調べるとともに、厚生労働省の基準を用いて認知機能障害を判定、運動の認知症予防効果を解析した。
その結果、1人の運動は52.4%が実践せず、5.8%が週1回、41.8%が週2回以上行っていた。仲間といっしょの運動は75.2%が実践せず、6.1%が週1回、18.7%が週2回以上行っており、1人で運動する人が多いことが明らかになった。
追跡調査の期間中に認知障害が確認されたのは、全体の7.7%に当たる337人いたが、週2回以上の運動が認知障害の発生を有意に抑制していた。効果の大きさでは、1人で行う運動が22%のリスク減だったのに対し、2人以上で行う運動は34%のリスク減となっていた。大藏教授らは1人でする運動の意義を認めつつ、2人以上で運動するよう推奨する必要があるのではないかとみている。
運動が認知症予防に効果的であることはこれまでに知られていたが、集団で行う運動の効果については十分な検討がなされていなかった。