東京大学発のベンチャーIT企業・プリファード・ネットワークス(PFN、東京、西川徹社長)は、大手電機機器メーカー・ファナック(山梨県忍野村、稲葉善治社長)と資本提携し、ロボットと機械学習技術の融合に向け、共同研究を始めました。ロボットやセンサーなど現場の機器に学習能力を持たせた一部の試作版を来春までに仕上げたい考えです。

ファナックによると、資本提携によりファナックは9億円をPFNに出資、PFN発行株式の6%相当を取得しました。今後、共同研究を進め、PFNが開発する機械学習、深層学習の技術をファナックのロボットや工作機械のセンサーなどに適用。ロボットやセンサーが自分で学習して協調する一方、協調の方法も自ら学び、不具合を発見して補うようにします。
装置の知能化により、ものづくりの現場でこれまでにない高度な自動化が推進できるようになります。さらに、ロボットは画像認識や予防保全の高精度化、動作教示の簡略化などさまざまな効果が見込まれ、多くの技術革新を実現できるとしています。

第4の産業革命といわれるドイツ発のインダストリー4.0や、もののインターネットと呼ばれる米国発のIoTなど、次世代の製造業を支える大きな技術革新の波に注目が集まっています。しかし、データ量が飛躍的に増大し、集めた大量のデータをどのように活用していくのか、リアルタイム処理していくのかが、大きな課題となってきました。
そこで、より機械側に近い場所で大量のデータをリアルタイム処理し、ロボットや工作機械を中心としたものづくり現場で高度な自動化を目指す手段として、両社が協業して機械学習や深層学習を利用することになりました。これまで機械学習や深層学習はサイバー空間での利用が進んでいましたが、ものづくり現場では適用されていませんでした。

東京大学

明治10年設立。日本で最も長い歴史を持ち、日本の知の最先端を担う大学

東京大学は東京開成学校と東京医学校が1877(明治10)年に統合されて設立されました。設立以来、日本を代表する大学、東西文化融合の学術の拠点として、世界の中で独自の形で教育、研究を発展させてきました。その結果、多岐にわたる分野で多くの人材を輩出し、多くの研究成[…]

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