全国的に教員の成り手不足が深刻化する中、福井県教育委員会は2023年度に実施する教員採用試験で大学3年生での受験を認めることを決めた。早めに受験機会を提供することにより、教員志望の人材が民間企業などへ流出するのを防ぐ措置で、志願者の増加を期待している。

 福井県教育委員会によると、県内の公立学校教員採用試験は現在、大学4年生から受験可能となっているが、2023年度実施分から筆記試験などの第1次選考について大学3年生の受験を認める。

 第1次選考の合格者は次年度の教員採用試験で第2次選考から受験できる。第1次選考に合格しなかったものの、「一般・教職」試験が基準点に到達していれば、次年度の教員採用試験で第1次選考が免除される。

 このほか、講師経験者への第1次選考免除の拡大や東京都内への試験会場新設、出願手続きの電子申請一本化も2023年度から実施する。

 大学4年生は通例、試験の時期に教育実習が重なり、これが大きな負担になっていた。民間企業より内定時期が遅いことも教員を敬遠する理由の1つになっている。福井県議会予算決算特別委員会で説明した豊北欽一教育長は今回の対策が志願者増につながると考えていることを明らかにした。

 教員の成り手不足は長時間労働が敬遠されるなどして全国的に深刻な問題に発展している。福井県の教員採用試験の志願者数は年々減少し、2022年度は695人、志願倍率2.75倍で、過去最低を記録した。

参考:【福井県教育委員会】令和6年度教員採用選考試験(令和5年度実施)における変更点について(概要)(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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