千葉工業大学は、株式会社PitPaと共同で、2022年度卒業・修了生に授与するNFT学位証明書を発行。希望者約1100名に3月20日から順次贈られる。大学が学位証明書をNFT化した事例としては、国内初となる(※2023年3月20日現在、PitPa社調べ)。

 今回のNFT学位証明書は、オンチェーン情報で一般公開されるNFTと、学生側で公開/非公開の設定が可能なVC※(Verifiable Credentials)2つの技術を掛け合わせている。

 NFTでは「千葉工業大学の卒業生であること」が証明でき、個人名や学位などの個人情報はVCに記載することでプライバシーを保護する。VCの情報は学生側で「公開/非公開」の設定が可能で、例えば、就職活動時にVCのURLを経歴書に記載しておくことで、千葉工業大学の卒業生であることをオンライン上で証明することができる。

 また、NFTは、MetaMaskなどの暗号資産ウォレットを通じて個人で管理できるという特性を持つため、NFTと連携可能なオンラインチャットツール「Discord」やタスク管理ツール「Dework」などと接続するだけでアイデンティティの証明ができ、web3時代の働き方を促進する。国際規格に準拠した形で発行しているため、グローバル規模での活用も可能となる。

 さらに、就職時のリファレンスチェックに時間や手間などのコストがかかるといった課題があるが、「透明性」と「真正性」の担保が可能なNFTを活用することで、雇用側は第三者により立証された職歴情報を元に採用を進めることができる。学生側も、大学に証明書の発行や情報開示を逐一求めることが不要となり双方のコストを削減できる。

 千葉工業大学 変革センター 伊藤穰一所長は、学位証明書の発行にあたって「VCだけでなくNFTも発行した背景は、卒業生が本NFT学位証明書と他のクレデンシャルを一元管理できるようにするためです。NFTを管理するウォレットには、単一の企業や機関によってコントロールされずに自ら管理できる『パーミッションレス』という性質があります。この性質を踏まえ、NFTという形で発行するに至りました。また、クレデンシャルの認証技術に関しても、オープンソースかつオープンスタンダードなものを利用し、世界中の誰もが実績を確認できるような仕組みを担保しました。今後、クレデンシャルを発行する際には、保有者がクレデンシャルを蓄積させ、グローバルで活用できるように配慮することが重要だと感じています。」とコメントしている。

 また、証明書のデザインは、デザイン研究に取り組む稲坂研究室の学生3名が考案した「大学での経験が”原石”となり、新たなチャンスや信頼関係を磨くきっかけになる。」というコンセプトをスクールカラーの「紫紺」で表現している。この点についても伊藤所長は「本NFT学位証明書のデザインは卒業生がウォレットを接続するweb3上のあらゆる場所で表示されるため、デザインそのものが『CITの学生である』ことを表している点にとてもワクワクしています。NFT学位証明書を発行した国内初の大学として、そのNFTのデザインがCITのデザインであることを誇りに思います。」と期待を込めて語った。

※VCとは、資格や能力等を証明するデジタル上で検証可能な個人情報のこと。国際技術標準化団体のW3Cによって標準化されている。

参考:【千葉工業大学】国内大学初!千葉工業大学が学位証明書をNFTで発行 -学位記授与式に合わせて学生がデザインしたNFT学位証明書を配付-

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