新型コロナウイルスの感染拡大で思春期の青少年の健康行動に経済格差が生じていることが、京都大学大学院 医学研究科の喜屋武亨特定助教(研究当時 神戸大学大学院 人間発達環境学研究科)、琉球大学医学部の高倉実教授の研究で分かった。
神戸大学によると、喜屋武助教らは笹川スポーツ財団が実施した「2019年・2021年全国子ども・若者スポーツライフ調査」のデータを使用、12歳から18歳の2019年766人、2021年725人の放課後・休日の運動、スポーツ参加状況、睡眠時間、排便回数などスポーツ環境と健康行動を分析した。
その結果、コロナ禍前の2019年は青少年の身体活動に所得による差が見られなかったのに対し、コロナ禍に入った2021年は所得が低い家庭の子供ほど身体活動の実施割合が低くなる傾向が見られた。逆に朝食の摂取状況では反対の傾向が出ている。
コロナ禍で思春期の健康行動が世界的に悪化していることが明らかになった。国内の全国調査でも身体活動量の著しい減少や健康行動の悪化が示されている。さらに、コロナ禍が家庭の所得格差を広げ、健康格差を悪化させるとの指摘も出ていた。
政府はコロナ禍前から健康格差の是正に向けて身体活動の促進を進めているが、喜屋武助教らはこうした活動がコロナ禍で生まれた格差是正に貢献できるのか、継続してモニタリング調査する必要があるとしている。