東海大学文化社会学部の山花京子准教授らの研究グループは、古代エジプトで陶器などに使用されながら、長い間製法が謎とされてきた「ファイアンス」について、石英、炭酸カルシウム、アルカリに漆喰の水酸化カルシウムを加えることで再現が可能になることを突き止めた。

 東海大学によると、ファイアンスは古代エジプトやメソポタミアで紀元前4500年前ごろから陶器などに使用されてきた。製造工程が複雑で難しいため、その後ガラスに取って代わられた。
組成分析で石英、カルシウム、アルカリが含まれていることは分かっていたが、実際に使用された材料や製法に関する記録が全く残っておらず、謎の物質とされてきた。

 山花准教授は長年、ファイアンスの再現に努めてきたが、石英と炭酸カルシウム、アルカリに水を混ぜて練っても、立体的な造形や微細な装飾ができなかった。そこでピラミッドの石と石の接着に使用されていた水酸化カルシウムを主成分とする漆喰に注目、これを石英などに少量含ませて焼くことで立体的な構造の再現に成功した。

 研究グループは今後、古代エジプトの実際の陶器のサイズや質感に近づけたレプリカを製作し、博物館で本物と並べて展示できるものの製作を目指す。
研究成果は9月上旬にトルコのイスタンブールで開かれた国際ガラス歴史協会の学会で発表された。

参考:【東海大学】文理融合研究により、古代エジプトの「ファイアンス」の再現に成功

東海大学

2022年4月、全国7キャンパス23学部体制で学生の教育・研究活動を充実させました

東海大学は23学部・62学科専攻において、人文・社会から理・工学、航空宇宙学、医学、海洋学、農学に至る幅広い分野で研究を行っています。その領域は海底から宇宙にまで及び、現代文明の諸問題にあらゆる角度からアプローチすることが可能です。[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。