海洋深層水がヒラメのストレスを軽減することが、金沢大学環日本海域環境研究センターの鈴木信雄教授らの研究グループが突き止めた。深層水に含まれる化合物のキヌレニンがヒラメのストレスホルモン分泌を抑えていた。
金沢大学によると、研究グループには、金沢大学理工研究域の松原創教授、富山県立大学工学部の古澤之裕准教授、富山大学大学院生命融合科学教育部の田渕圭章教授、立教大学スポーツウエルネス学部の服部淳彦特任教授、丸山雄介助教、公立小松大学の平山順教授らが参加した。
研究グループはヒラメを石川県能登半島沖で採取した海洋深層水と表層水で10日間飼育し、ストレスホルモン分泌の変化を調べた。その結果、海洋深層水で飼育したヒラメに変化が見られなかった一方、表層水で育てたヒラメは分泌量が上昇していた。
海洋深層水には化合物のキヌレニンが含まれている。このキヌレニンがヒラメのウロコの骨芽細胞に働き、そこで分泌されたホルモンが脳でストレスホルモンを分泌させる遺伝子の発現を抑えていることが分かった。
海洋深層水でヒラメを育てると長期間の飼育が可能になるといわれていたが、そのメカニズムは解明されていなかった。研究グループは海産魚類の養殖に海洋深層水が有効であることが立証されたとしている。