国家公務員の職場環境がこの10年間、20代の成長や士気、風通しのよさなどの面で悪化していることが、転職・就職プラットフォームを運営するオープンワークの分析で分かった。口コミには国会対応など雑務に忙殺される中、膨大な量の業務をこなしても人事や評価に反映されず、徒労感漂う職場への不満が渦巻いている。

 オープンワークによると、2023年1~7月にオープンワークに投稿された官公庁業界(中央省庁並びに地方自治体)のスコアは、20代の成長環境が2.47、人材の長期育成が2.56、人事評価の適正感が2.46、社員の士気が2.70、風通しのよさが2.93。2014年のスコアに比べ、0.24~0.72低くなっている。

 2023年の日本全体の全業界平均と比較しても、20代の成長環境が0.49、人事評価の適正感が0.41低いなど軒並み全業種平均を下回り、全業種平均を上回ったのは法令順守意識だけ、同ポイントだったのも待遇面の満足度だけだった。

 また、2023年7月時点の官公庁業界平均と1府11省の総合評価を比べると、上回ったのは経済産業省(3.52)、財務省(3.17)、環境省(3.16)、防衛省(3.11)の4省となった。特に経済産業省と環境省は「風通しの良さ」に関して11省中8省が2点台という中、両省は4点超えという高い結果となった。「社員の士気」に関しては、両省のみ3点を超え、ソフト面に関する評価スコアは、府省によって差異が生じる結果となった。クチコミからは、経済産業省や環境省に若手の成長を歓迎するフラットな文化、霞ヶ関以外でも通用しそうなスキル、自省庁以外の交流やつながりといった要素をあげる声があった。

 一方で「人材の長期育成」「人事評価の適正感」「待遇面の満足度」など人事・評価制度といった内容に関するスコアは1府11省全て3点以上はつかなかった。オープンワークに投稿された口コミには、膨大な量の業務や年功序列、国会対応などへの不満が相次ぎ、優秀な人材に仕事が集中し失望して辞めていく状況が厳しく批判されている。プライベートを大切にする人が多いとされる若い世代にとって、国家公務員は昭和の働き方と映っているようだ。

 人事院によると、2023年度春の国家公務員総合職試験の申込者数は、前年の1万5,330人を下回る1万4,372人。過去2番目に少ない数で、東京大学の卒業生193人は過去最低を記録した。

参考:【オープンワーク株式会社】「国家公務員の働き方 10年レポート」を発表しました(働きがい研究所 調査レポートvol.110)

大学ジャーナルオンライン編集部

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