北海道医療大学は北海道当別町にある本部、キャンパスを北広島市の「北海道ボールパークFビレッジ」へ移転することで北広島市、ファイターズスポーツ&エンターテイメント(FSE)と基本合意を締結した。学生確保に有利な地域へ移るのが狙いとみられ、大学の存在に依存してきた当別町の将来や大学があるために廃止を免れたJR札沼線の行方に影響を及ぼしそうだ。

 北海道医療大学によると、基本合意では北海道医療大学、北広島市、FSEがFビレッジの魅力ある街づくり実現を共通の基本思想とし、協力するとしている。北海道医療大学を運営する学校法人東日本学園の鈴木英二理事長は「移転は学生への修学・生活支援の強化につながる」とのコメントを発表した。

北海道医療大学は1974年の開設。当初は音別町(現釧路市)にもキャンパスを置いていたが、1985年に当別町に統合した。現在、歯学部、薬学部など6学部を開設し、約3,400人の学部学生が在籍する。しかし、北海道の人口減少もあり、歯学部、看護福祉学部、心理科学部が定員割れしている。

当別町は人口約1万5,000人のうち、約900人が北海道医療大学の学生で、大学の存在が地域を支えてきた。大学移転が明らかになり、JR札沼線の当別駅前で計画されていた複合施設建設が白紙になるなど、早くも影響が出ている。

さらに、JR札沼線は桑園-石狩沼田間111.4キロの大半が廃止される中、桑園-北海道医療大学前28.9キロだけが大学へ通う学生の利用を考慮して存続となった。JR北海道の綿貫泰之社長は記者会見で「現時点で廃止する考えはない」と述べたが、学生の利用に依存していた区間だけに、今後存廃論議に発展する可能性が高いとみられている。

参考:【北海道医療大学】北海道ボールパークFビレッジ 共同まちづくりに関する基本合意締結について

北海道医療大学

大学ジャーナルオンライン編集部

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