畿央大学は奈良県北葛城郡河合町と包括的連携協定を結んでおり、地域住民の交流場所および居場所の創出を目的に、2023年の春休み、人間環境デザイン学科の陳ゼミの学生が町役場と佐味田地区の住民とともに「佐味田みんなの縁側」を制作、河合町佐味田集会所前に設置した。半年後、その縁側の活用状況について調査を行った。
「佐味田みんなの縁側」は、明日香村産の桧を使用し、つなぎ目は釘を使用しない「ホゾ加工」で制作した。また、縁側には、灯りを灯すことができる和紙を使った「光箱」も設置。和紙は春・夏・秋・冬の4種類に絵柄があり、季節ごとに絵柄を変えて楽しむことができる。
設置から半年近く経った2023年12月20日、陳ゼミの学生たちは「佐味田みんなの縁側」の活用状況を把握するため、住民への聞き取り調査を行った。
10名ほどの住民に活用状況をたずねると、「佐味田みんなの縁側」は、「休憩」「集まり」「会話」などの目的で使用していることがわかった。「座り心地がよい」という人もいてなかなか好評のようだ。このほか、佐味田地区に週2回程度来る移動スーパー「とくし丸」を待つ間、座っておしゃべりをしているという人もいた。
この日は調査のほか、縁側のメンテナンスも実施。縁側が雨や日差しで変色していたため、雨や汚れに強い塗料で塗り替えたり、また、「光箱」の和紙も冬の絵柄に変更した。住民の方からの意見を聞いて、雨に掛からないように、縁側の設置位置も調整した。
学生からは「初めて縁側が実際に利用されているところを見られて、嬉しい気持ちになると同時に、優しい地域住民の方々とお話ができてとても暖かい気持ちになりました。また、地域住民の方々のお話から縁側の新しい使い方や改善点も見つかったので、これからもこの縁側がもっと愛される場所になるよう改良していきたいと思いました。」「様々な人が、様々な目的で縁台が利用されていることを知り、改善点が把握できたと共に嬉しく思いました。今回の地域交流と河合町の人たちに答えてもらった内容を基により快適に、楽しく利用してもらえるように頑張ります。」と感想が聞かれた。