日本企業では、謙虚なリーダーの下にいることで部下が物おじせずに意見をいえ、本領を発揮しやすくなることを、東京大学先端科学技術研究センターの松尾朗子特任助教、熊谷晋一郎准教授らの研究グループが突き止めた。

 東京大学によると、調査は国内の複数の企業から集めた平均年齢35.67歳の回答者462人を対象にオンライン調査を実施、体調不良や心身の不調を抱えながら働いている状態を意味するプレゼンティーズム、物おじせずに自分の意見をいえる状態を指す心理的安全性、リーダーの謙虚さを測る質問をした。

 その結果を統計学的手法で分析したところ、リーダーの謙虚さが心理的安全性を高め、プレゼンティーズムを低減することが分かった。松尾特任助教はこの研究結果は従業員が最大限の力を発揮するための大きなヒントになるとみている。

 プレゼンティーズムは従業員1人ひとりの健康状態を悪化させるだけでなく、組織の業績を落として膨大なコストを発生させる可能性がある。特に労働人口の減少に直面する日本のような超高齢社会では、喫緊に取り組むべき課題になっている。

論文情報:【WORK: A Journal of Prevention, Assessment & Rehabilitation】The Mediating Role of Psychological Safety on Humble Leadership and Presenteeism in Japanese Organizations

東京大学

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