教育学部の連携を進めている群馬大学と宇都宮大学が、一部の授業を共通化して両大学で学部運営する共同教育学部を設置する方針を固めた。少子化による教員需要の低下を見越し、学部の存続と運営の効率化を図るのが狙いで、今春にも文部科学省に設置を申請、2020年度の開設を目指す。
群馬大学によると、共同教育学部ではインターネットを使い、相手大学の得意分野の授業を受けられるようにするほか、授業内容も両大学で共同設計する。教員の相互派遣や学生間の交流も検討しているが、入試問題や合格判定は共通化しない。
国立大学の連携では、島根大学と鳥取大学が2014年度に教員養成の学部を統合したほか、山口大学、鹿児島大学など4組計8校が獣医師養成の共同課程を設置している。しかし、共同教育学部の開設は全国でも前例がないという。
群馬大学と宇都宮大学は小中高校の教員免許を包括的に扱ってきたが、少子化で今後、教員需要が減少するとみられている。さらに、国立大学教員も減少していることから、共同教育学部の設置で運営の効率化と教育の質維持、学部の存続を図ることにした。
教員需要の低下については、文部科学省の有識者会議が2017年、国立の教育大学、教育学部に対し、教員養成機能の統合や近隣校との分担、連携が必要とする報告書をまとめた。文科省がこの報告書を受け、各大学に2021年度末までに結論を出すよう求めていた。