6月29日、東北大学は、大阪大学、東京大学とともに米スタンフォード大学とバイオデザインプログラムに関する提携契約に調印したと発表しました。これにより、日本の医療機器イノベーションを牽引する人材育成プログラム「ジャパン・バイオデザインプログラム」が10月より開始されます。
世界の医療機器市場が大きく成長している一方で、日本初の医療機器のシェアは米国に大きく離され、貿易赤字も拡大しています。これまでにも医工連携や産学連携によるアプローチが実施されてきましたが、市場のニーズがうまく捉えられず、多くのケースが事業化に至りませんでした。こうした現状を打開するため、スタンフォード・バイオデザインプログラムが着目されました。
バイオデザインとは、スタンフォード大学のポールヨック博士らが開始した人材育成プログラム。開発の初期段階から事業化を視野に入れ、医療現場のニーズを出発点として問題の解決策を開発し、イノベーションを実現するアプローチを特徴としています。フェローシップと呼ばれる1年間のコースには世界各国から応募があり、18倍を超える高い競争率のなか、毎年8名が選抜されます。14年間で40社が起業、400件以上の特許出願がなされました。また20万人以上の患者が本プログラムで創出されたデバイスによる恩恵を受けています。現在、インド、シンガポール、アイルランド、イギリスで導入されており、世界各国で導入が検討されています。
日本では、スタンフォード・バイオデザインプログラムをそのまま導入するのではなく、同プログラムを参考にしながら日本に適合したプログラム開発が進められるということです。本プログラムによって、医療機器におけるイノベーションの活性および日本の産業の発展、さらに創出された医療機器が多くの患者の診療に役立つことが期待されています。